弟の日記その2

@月#日

 姉が覚醒してしばらく経って、姉が新しいパーティメンバーが集まったからとパーティを解消して来た。

 そして姉は全国を回って活躍をしてた。一方の僕はギルド長の娘から理不尽に報酬やドロップアイテムの売値をピンハネされてなけなしの金で払われなくなった家賃を稼いでいる。

 それにどうやら姉が覚醒したあの日から僕の目は僕に対する誹謗中傷や僕に対する殺害予告など見なくていいものが映すようになった。ついでに言うと通っていた高校でもそのことが広まって虐められるようになったので高校を辞めた。

 ああ、なんで家族でも無い赤の他人である人間がここまでするのだろう。どうやらコイツらは脳がイカれている。変なプログラムをされている。どうやったらそんなことが出来るのか頭の中のズレた回路を見せて欲しいものだ。

 

 @月・日

 姉が帰ってきた。Sランクダンジョンを攻略し尽くしたらしい。それとこれから僕らの住んでいた家を拠点にしてSSランクダンジョンを攻略する事を発表した。それが一週間前。

 そして今僕は一週間前から県外へと逃避行している。SSランクダンジョンの攻略の発表したその日からギルド長の娘に暗殺者を仕向けられそれから逃げている所だ。どうやら僕は家の維持をする為に生かされた様だった。

 警察は使えない、ギルド長の家系がこの冒険者界隈の最高位の存在だから警察に口出し出来る権力がある。警察に助けを求めても逆に警察を頼った僕が不当に逮捕されて死刑になる。なんなら僕の指名手配書が貼られていた、何も罪を犯していないのに。本当、最悪だよ。

 それから暗殺者達は諦めたのか僕は逃げ延びた。これでも一人でAランクダンジョンに入れるようになるぐらいまでは強くなっている。そして自殺の多い樹海の奥深くに入り込み野宿をすることになった。

 ここまで一人でダンジョンに入って戦えたのは生きる為とこんな僕でもいつか姉に認められるか最高の理解者と言う仲間に出会えると都合のいいことを考えていたから。まあ、そんなのは居なかったけど。

 

 @月?日

 朝起きて自分がいかに惨めな事をしていたのかを思い出して自己嫌悪する。そうしていると微かに人の声が聞こえて来た。声がした方向を見ると警察がいた。それも大人数、間違いなく声の正体は僕を殺しに来た警察だった。もっともっと奥へと逃げなければ!

 警察に見つからない様に土で服を汚しながら這いつくばって、できる限り音を立てず素早く移動する。

 何でこんな事になってしまった?もう姉と話すことも出来なくなった。いつから家族という関係が崩れたのだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る