弟の日記その1

○月○日〜ギルドに行く前〜

 今日からダンジョン活動だ。姉の誕生日の次の日に僕たちはダンジョンへと初めて入る。

 僕にとってダンジョンは捕食者が闊歩している檻に感じる。そこに僕は姉とその身を放り投げる。気を引き締めろ僕!

 ダンジョンが僕らを食おうとするならその前に僕らが食えるぐらいに強くなれば良いのだ。

 

○月○日〜初めてのダンジョンを攻略した後〜

 初めてのダンジョンはボスまで行けなかった。しかし初めてモンスターを倒した時に知らない衝動に襲われた。

 ゴブリンを僕が両手で押さえつけて姉がそのゴブリンの首を切る。初めてゴブリンを倒せた達成感と危険なゴブリンに自分から接近すると言うよく考えれば恐ろしい事をしていたと言う恐怖で一人感情がバグった。

 初めてのダンジョンで疲れた今日はもう寝よう。

 

 ○月@日

 今日から配信をしながらダンジョンを攻略するらしい。姉曰く「ダンジョン攻略と配信業で今日を生きるためのお金を稼ぐのよ。」らしい。なので僕がビデオカメラを持って姉が戦うことになった。

 ちなみに冒険者は職業を選べる。姉が戦士で僕はサポーターだ。姉にバフをかけ敵にデバフをかける。

 姉が傷付けば回復もする。今僕がこなしているお仕事は普通の冒険者から見ればカメラ担いで撮影をしながらダンジョン攻略しているちょっと変な冒険者だろう。いや、そう思われるだけならどれだけ良かっただろう。

 一部の冒険者からは「姉に戦わせている奴がいる」みたいな視線を感じる。多分勘違いじゃ無いだろう。

 とりあえずその事を知らない姉に心配をかけたく無かったので何があったか聞かれても「何もないよ」としらを切る事にした。

 

 *月/日

 ダンジョンに慣れてきてしばらく、僕らはダンジョンから出てきたドラゴンと遭遇した。ダンジョンの外なので冒険者では無い一般人も沢山居る。

 戦士系や魔法使い系のの冒険者達がドラゴンと戦いサポーター系冒険者が一般人を避難させる。僕も一般人の避難誘導をしていたがドラゴンに掴まれた。

 あの時は怖かった、お皿に乗っかった感覚だった。喰われて死んでしまうと思ったその時、日本で選ばれた者にしかなれない『英雄』となった姉に助けられた。

 姉は一躍有名となり英雄と呼ばれる様になった。その日の夜、姉は「明日からSランクダンジョンに入る。」と言ってきた。姉は覚醒したから楽勝だろうけど僕はそのままの状態だったので死なないか不安だった。

 不安だったが姉に言ってもどうせSランクダンジョンに入ることになるのでマイナスな事を考えるのを辞めて寝ることにした。

 はぁ、神はなんで英雄というものを発明してしまったんだろう。

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