第2話
「何が神か」
「いや、何れも」
己の内部でのみ蠢く文化を昇華させ、極彩の夢に身を投じる彼等を止める者は、誰一人居なかった。サイケデリクスとは文化と人間の融合である。文化は地球の歴史の中で、生成され崇められ、時には蔑まれてその存在を刻み込んで来た。今現在、個々人が脳内文化を保持する手建ては限られている。合理と監視社会の台頭に依り文化という括りは身を潜めてしまった。彼等は怒り狂っていた。とても明晰な頭脳で。反乱分子を排除しようと躍起になっている国家の骨組みは今、海鞘のように網の目となって崩れ去る寸前である。そこに潜む海老は海鞘を嘲笑うかのように、内部を侵食する。機会を逃さぬよう、隠れ、また反乱を目論む。本当に恐ろしいのは彼等が神はもとい、己と他を区別する手段の無いことだ。彼等の思考は壁を持つことが無い。どこまでも吸って、ただ、そこに在るのみ。有るとも、在るとも、無いとも言えないとはっきり他より認識できる存在。確立された曖昧模糊が壁のようにそそり立っていた。
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