第14話 巧以外には塩対応

 4時限目が終わり、お昼休憩の時間になった。


 ひとみは人目をはばかることなく、谷彦とイチャイチャしている。今を楽しむことだけに神経を奪われ、周りからどう思われているのかということには無関心。こんなに馬鹿な女だとは思わなかった。


 ふゆきはいろいろな男から、声をかけられていた。巧はその様子を見て、人の気を惹きつける天才だと思った。女から滅多に声をかけられない男とは、住む世界が違うのかなと思った。


 声をかけられた女性は、塩対応を取っていた。私には近づかないでください、私と距離を取ってくださいといわんばかり。巧と接しているときとは、完全なる別人である。


 巧の座っている席に、ふゆきが近づいてきた。


「巧さん、ご飯を食べに行きましょう」


「ああ、わかった・・・・・・」


 二人でご飯を食べに行くと知った男たちは、ふゆきのところに近づいてきた。


「ふゆきさん、僕とも食事をしてください」


「僕もお願いします」


「時間の空いたときに、一緒にご飯を食べていただきたいです」


 ふゆきはうんざりだといわんばかりに、


「すみませんが、お断りします。あまりしつこい場合は、しかるべき対応を取らせていただきます」


 といった。感情を殺し切った声は、恐怖を感じさせるものだった。

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