第13話 ふゆきと教室に入る

 巧、ふゆきは一緒に教室に入った。美人といっしょだったからか、クラスから注目されることとなった。


 巧のところに、弘がやってきた。


「ひとみと別れたばかりの状態で、美人に乗り換えたのか。見た目は穏やかなのに、中身は野獣みたいだな」


 巧は長年の経験で、ジョークだとわかっていた。こいつはときどき、からかうようなことをいってくることがある。


 ふゆきは聞き捨てならなかったのか、眉間に大量の皺を寄せていた。


「巧さんのことを悪くいわないでください。関係は清算されているのだから、他の異性と一緒にいたとしても、不純ではありません」


 ふゆきの視線は、弘へと向けられた。


「誤解を生むような発言は慎んでくださいね」


「ご、ごめんなさい・・・・・・」


 弘は圧を感じたのか、足は後ろに下がっていた。


「ふゆきさんは何組なの?」


 巧のクラスは、1~4組まである。同じクラスで授業を受けるとは限らない。 


「それはわかりません。何組であるのかは、聞かされていないんです」


 ふゆきは深呼吸をした。


「巧さんと同じクラスで、授業を受けたいです」


 ゲームセンターに誘った件といい、積極的な印象を受ける。


「ふゆきさん、とっても積極的だね」


 ふゆきの耳たぶは赤く染まった。


「距離が近すぎるのであれば、自重するように心がけます・・・・・・」


 ひとみとは異なり、立ち位置をわきまえている。ふゆきとはよいおつきあいをできそうだ。


「そ、そんなことはないよ。とっても嬉しいよ」


 ひとみにこっぴどいフラれ方をしたあとに、突如として現れた救世主。巧は彼女に対して、興味を持つようになっていた。


 交際については、お預けにしようと思っている。ひとみのような悪女であった場合、心の傷はさらに大きくなる。

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