第11話 ふゆきの過去(ふゆき視点)
ふゆきは中学生時代に、何度もストーカー被害に遭っていた。男からの執拗な束縛に、メンタルはおおいに疲弊する。
ストーカーを相談しても、自慢話として扱われるだけだった。過去の傷は心の中で清算していく必要がある。
男に恐怖心を抱いていたのに、路上で見知らぬ異性に声をかける。どうしてあんなことをしたのかはわからなかった。
男はこちらを振り向いたとき、不思議と恐怖心を感じなかった。心の中にあったのは、心の落ち着きだった。いろいろな男と接してきて、こんな感情になったのは初めてだ。
巧と一緒にいるとき、ひとみという女性を発見。他校の生徒にもかかわらず、よく耳に入ってくる女。悪い情報は、いろいろなところに広がる。
巧、ひとみの交際した事実を知り、ちょっとだけショックを受けた。健全そうな男が、あんな女に手を出すとは思えなかった。どのような経緯で、付き合うという選択を取ったのだろうか。
やはりというべきか、こっぴどいフラれ方をしていた。巧の話を事実とするなら、人間として扱っていないのかなと思った。
ふゆきは咄嗟に頭を撫でたものの、あんなことをしてもよかったのだろうか。初対面の人間に触れるのは、非常識極まりない行動だ。
ゲームセンターでは、手を重ねた挙句、体を押し付ける。温もりを分けてほしいという思いに、抗うことはできなかった。
ストーカー被害に遭っていたこともあり、男に対する引き出しは非常に少ない。どのようにすれば、よい印象を持ってもらえるのかわからない。
ふゆきはため息をついたタイミングで、ラインの着信音が鳴った。
「ふゆき、元気にしている」
ラインを送ってきたのはきらり。ふゆきの信用する、数少ない人間だ。
「きらり、まずまずといったところだよ」
「新しい学校ではうまくいくといいね」
「そうだね。そうなるように願っている」
新しい学校に通うのは数日後。どのような展開が、待ち受けているのだろうか。
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