第52話 他の転生者ばなし 山村 花江の場合
私はずーっと若い時からうどんを打っている。
父のうどん屋を手伝い始めたのが最初だった、手打ちが売りの店だったが父が腰をいわせてからは私の仕事になった、毎日、毎日うどんを打った、途中からは私が出汁を作ることから天ぷら揚げるまで私の仕事になった、それは父が亡くなってからもずっと続いた。
父の弟子だった夫と結婚して二人で店を切り盛りして数十年、夫には先だたれ子も無かったが毎日がむしゃらに頑張ってうどんを作り売っていたら、いつからかうどんの老舗とまで呼ばれるようになった、各地からお客さんも来るようになり弟子も何十人と来た、しかしそれもそろそろ終わりが近づいて来たのを感じ始めていた最近は腰も痛いし疲れやすくなってきた毎日店を開けるのも辛くなってきた。
そして今は最後まで面倒見切れないから弟子もとっていないので何もかも一人でしなくてはならないのでよけいにだ。
とりあえず出来るところまでは続ける気でいるがいつまでもつかは分からない、そんなことがお客にも伝わったのか最近は昔来てた客や常連達もかなり頻繁に来るように。
今日も色々なお客が来てくれた、中でもよく来てくれて弟子にまでしてくれと言っていた菊坊が食べに来てくれた子供の頃から親とよく来ていてくれて親がなくなったと聞いたときは心配したがなんとかやっていけてるようだった。
弟子にと言ってきたときは受けてあげたかったが最後まで責任とれる自信がなかったから断ったが、店を手伝ってくれたりもしたから少しだが教えたりもしていた、今日もお客が多かったから食べたあと少し手伝っていってくれた、そしてうどんが無くなり営業を終えて少し経ったときにそれが起こった。
店が一瞬震えたと思ったらそれが人生の終わりだった。
その後は神様に会い、色々聞いて力とやらもいただいた転移?したところで寿命で死ぬのも近いからいいと言ったがそういう訳にもいかないと言われ年齢をかなり若くしてもらえた、そして今いるこっちに送られたのだ。
若くなったからか体の痛みもなくなり元気になったそのおかげかやる気も出てきたこっちでも小麦はあるみたいなのでなんとかやっていけそうだと思ったのだが肝心の出汁の素材が流通してないのだ元々無いのか今いる町に無いのかまでは分からないが、無いものはとりあえず仕方ないので町の飲食店で働きながら情報を集めつつうどん屋を開く準備をしていくことにした。
昆布はそれらしい物が見つかった鰹節は作られていないらしかった自分で作るのも厳しいから他の日本人に任せることにした。
誰かが作ってくれるだろう。
油とかは比較的手に入りやすかったが揚げ物がこちらの世界には無かったので自分の店を持つまでは天ぷらも作らないでおいた。
時間はいくらでもあるのだから慌てずにゆっくりやっていこう。
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