第38話 朝から動く
宿の裏手にある井戸の所まで行った俺は、何気に初めて使う釣瓶式の井戸に戸惑いながらも、うまく水を汲めて顔を洗えた。
当たり前だね。
さて、ストレッチでもするとしますかね、一通りのストレッチも終わり、剣を出して軽く素振りをする。
その後は蹴りや突きの訓練を少しした。
少し汗ばんだので体を水で洗いたかったがタオルも無いので我慢して部屋に戻ることにする。
早いとこ布などの日用品も買わなければならないな。
部屋の中に戻ってきたがすること無いので、部屋の中を見渡し忘れ物がないかチェックする。
そして何もないのを確認して部屋を出る。
受付のリサさんに鍵を返し、今日から寮に入りたいことを告げる。
「そうですか、わかりました月3000ギルですね。今日から入られるなら今日の朝御飯も食べていってくださいね。あと洗濯物あれば出してね、本当なら夜に出してもらうのだけどね。」
「はい、3000ギル、洗濯物どころか服これしかないから。」
「確かに受けとりました、寮には向こうの扉から入ってね。朝御飯は向こうの食堂で食べてね、宿に泊まった人達もいるから混んでるけどね。」
「そして寮の方にある食堂では調理可能なので、空いてる時は自由に使ってね、まぁ~冒険者の方はあまり得意でない方、多いけどね。もちろん持ち込んで食べてもいいからね。お酒飲んで騒ぐのはほどほどにね。ヴォードさんはそんなふうには見えないですけどね。」
「ならご飯いただいてきますね。」
「はい」
受け取った鍵をしまいながら、食堂にいったらかなり混んでて注文するのも大変だった、メニューは1つだけだったので出来上がるのは早かったけど。
「寮のお客さんだよね、混んでて嫌なら寮の食堂に持っていって食べてもいいからね、まぁ~食べ終わった後の食器は持ってきて貰うことになるけどさ。」
「ならそうさせてもらいます。」
そこまで嫌ではなかったけどゆっくり食べたいから食事の乗ったトレーを持ちリサさんの前を軽く会釈しながら通りすぎ寮の食堂に着いた、中には数名の人がいた、女性が多い気がした。
空いてる席に座り、手を合わせ小声でいただきますと言ってから食べることにした。
日替わりらしい食事は今日は黒いパンと具の無いスープ、お水、メインのお肉の焼いたとその横に気持ち程度の葉っぱがついていた。
地球育ち俺としては貧相な気もするし朝から肉かいとおもうけど、こちらではこれでもいい方らしいからね。
パンは異世界物でありがちな固い黒パンだ、スープに浸けないといけないほど固くは無かったけどつけた方が美味しい、いやいや決して美味しくはないよ!
つけた方がましというていどだね。
お肉はいちおう鑑定してみたけどやはり思った通り一角兎のお肉だった。
こちらではかなりメジャーみたいだし、ここは冒険者から直接買い取るからやはり定番の一角兎を使う事が多いのかもしれないなぁ。
モシャモシャモグモグしながら食べた、パンとスープは味気なかったけどお肉は新鮮だから普通に美味しかったなぁー。
食べ終り少しやすんでいたら数人の女性が寄ってきて俺の前で止まった。
「あんた、ちよっといいかい?」
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