4つの気持ち
あなたを亡くしてから母の心にわきおこる感情を話しましょうか。
一つ目。
ただただ強く深い悲しみと痛み。
事故や病で手足を失った人は、それまで普通にとれていたバランスを崩し、しばらくは真っ直ぐに歩く事が難しいと聞きます。
突然にあなたを失った母は、まさに身を欠いたかのように、心のどこかがフラフラと揺れているようでもあり、また時として心の奥底から激しく揺さぶられるような悲しみに襲われる事があります。
二つ目。
激しい怒り。それは自ら死を選んだあなたへの怒りです。「ふざけんな!!」「ぶん殴ってやりたい!!」そんな言葉が心の中を駆け巡り母自身をも打ちのめすのです。
三つ目。
負けてたまるかという反骨心。
子どもの頃のイジメや進路を決める時の親との葛藤。そして我が子が不登校となった…そんな自分自身の人生に対する…運命に対する「それでも負けてたまるか!」という反発心。そんな気持ちが時おり湧き上がるのは母のプライドのたかさによるものでしょうか。
四つめ。
「もう何もかもどうでもいいや」という自暴自棄な気持ち。
三つ目に書いた反骨心と同時に、自分自身の生に対して疲れたという思いも時に静かに湧き上がってくる事があります。
あなたが死んでから、母の心の中にはこれら4つの感情が渦巻き、時として悲しみが、時として怒りが、とてつもなく大きくなるのです。それは、たいていは1人でいる時、なにもする事がない時ではあるのだけど、そんな感情を自覚して分析し言葉に整理してしまう自分自身にまたウンザリしてしまいます。
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