恋煩い
「恋したいなぁ……」
「突然だね。」
放課後の教室。
「だって高校生だよ。一人や二人くらい欲しいよ。」
「いや、二人は駄目だろ。」
いつも突拍子もないことを言う。
「あはは……冗談冗談。」
「……」
本気なのかよくわかんない。
「正直、恋とか愛とか、まさに恋愛とか実感が沸かないんだ……」
「そうなんだ。」
頬杖をつく。
「うん、どうしたら恋なのかわかんない。どきどきしたらいいのか、いつも考えていたらそうなのか、自然と目で追ってたら好きなのか。」
「それでいいんじゃない?」
確かによくわかんないな。
「うーん……」
「……そういうひと、いるの?」
何となく気になって。
「……そうなのかなってひとは……」
「へぇ……」
なんて答えたらいいか分からずに、
「何?」
「好きになりたいのか、好きなのか、どっち?」
八つ当たり。
「え……」
「全く別だよ、その二つ。」
混乱する彼女。
「そんなの……わかんないよ……!」
「えぇ……」
頬を膨らめる彼女。
「君は私の話を聞くだけでいいの!」
「……それで結論は浮かぶの?」
高揚した彼女。
「……うん。」
「そう、良かったね。」
何となく聞きたくない。
「最後まで聞く!好きっていうのはね。」
「っ——」
口を塞ぐ柔らかい感覚。
こいつ大丈夫か?
ほんと、突拍子もない。
でもそこが——
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます