恋煩い

「恋したいなぁ……」

「突然だね。」

放課後の教室。

「だって高校生だよ。一人や二人くらい欲しいよ。」

「いや、二人は駄目だろ。」

いつも突拍子もないことを言う。

「あはは……冗談冗談。」

「……」

本気なのかよくわかんない。

「正直、恋とか愛とか、まさに恋愛とか実感が沸かないんだ……」

「そうなんだ。」

頬杖をつく。

「うん、どうしたら恋なのかわかんない。どきどきしたらいいのか、いつも考えていたらそうなのか、自然と目で追ってたら好きなのか。」

「それでいいんじゃない?」

確かによくわかんないな。

「うーん……」

「……そういうひと、いるの?」

何となく気になって。

「……そうなのかなってひとは……」

「へぇ……」

なんて答えたらいいか分からずに、

「何?」

「好きになりたいのか、好きなのか、どっち?」

八つ当たり。

「え……」

「全く別だよ、その二つ。」

混乱する彼女。

「そんなの……わかんないよ……!」

「えぇ……」

頬を膨らめる彼女。

「君は私の話を聞くだけでいいの!」

「……それで結論は浮かぶの?」

高揚した彼女。

「……うん。」

「そう、良かったね。」

何となく聞きたくない。

「最後まで聞く!好きっていうのはね。」

「っ——」

口を塞ぐ柔らかい感覚。

こいつ大丈夫か?

ほんと、突拍子もない。

でもそこが——

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