【MV】不条理な存在 / 不死身のタコさん&ウィンナー
【粗筋・筋書・書始め他】
1.旅する首
『異界へ勝手に召喚して、いい様に扱き使い、挙句使い捨てにするなんてのは、召喚した側の世界の者としてちょいと酷過ぎるんじゃないかい?』
魔物の王に向けて対等に言い放った女のその一言で、終わる筈だった"俺"の命は大きく歪んだ。
本当なら元の世界で高校生生活を謳歌して、変り映えのない普通の生活をして一生を終える筈、だった"俺"。この世界に召喚されてからは、"俺"を召喚した高司祭の意のまま、ゲーム感覚で魔物を殺し続けてきた。だが魔物の王国を相手に戦争を仕掛けた"俺"達は、その魔物に殲滅させられたのだ。己の能力に驕った"俺"は虐げた筈の魔物の強者に首を刈られ、死んだ…筈だった。
あの女の一言で召喚された者に送還する機会を与える提言がなされ、結果"俺"は生かされる事となったのだが。
奪った魔物の命の対価として、復活したのは頭部だけ。そして元の世界に帰還する為に与えられた命は不死。帰る為の条件は召喚時と同じにする事。
そして、首だけの第二の人生が始まった。
魔物達には嫌われ、人間からは化物視され、晒し首にされる日々が続く。全てを憎み、疲れ、絶望し、無為に時間が過ぎていく。ある日、半獣人の少女が"彼"の首を持ち去り、そこから"彼"の人生が変化していく。
半獣人の少女も孤独だった。辛うじて喋る事と、目を閉じる事しか出来ない"彼"。何も出来ない"彼"の世話を焼くことで少しずつ二人の心が打ち解けていく。でもそんな生活も、獣人に少女が暴漢されて終わってしまう。"彼"はただ見ているしか出来なかった。少女が乱暴されている間も、力尽きて死んでいく間も、少女の肉体が喰われ朽ちてく有様も、ただ見ているしか出来なかった。
そこで初めて大切な人の命が奪われる苦しみと、本当に何も出来ない己の無力さを思い知る。
そうして何事も無かった様に月日がまた過ぎていく。道端に転がったままの"彼"を拾い上げたのは、魔術の創作に明け暮れた一人の若者だった。
魔術師は"彼"を実験体の様に扱った。だが、"彼"が体を求めている事を知り、気紛れに協力してくれる。魔法術でゴーレムと精神を繋いでみたり、他の生物と融合を試みたり。だがどれも失敗に終わった。ただ魔術師に玩ばれ続ける日々が続き、置き引きで他の人間の手に首が渡ってしまった事で唐突に終わる。
生首と勘違いされて森に捨てられた"彼"は、獲物として獣に銜えられたり、時に大水で流されたり、いつしか森の奥でひっそりと眠る日々を送っていた。
名前も忘れ、全てがもうどうでもいい過去になりかけた先、また一人の人間に出会う。彼はウーリーと名乗った。
人間の踏み入らない迷いの森。ウーリーは穴場を見つけた様な高揚を胸に、森の奥での収集調査を始めた。求める鉱物は勿論の事、今までに文献にすら載っていない、高名な植物学者の日記にメモ書きされたスケッチのみの希少な植物花の採取まで、全てが彼の好奇心をそそる物ばかりだった。その日の収集を一先ず終えて、野営の小型テントを設置するウーリー。御誂え向きの開けた窪地が在る事に、少しばかり不審を感じたが、夜間に森を抜けるリスクよりも安全で確実な明日の移動を選んで、その日は就寝についた。
眠りについて四半時、耳元に蚊の鳴くようなか細い声で「逃げろ」と誰かが言う声で目が覚める。外へ出ると遥か遠くの轟音が近づいてくるような、そんな騒音が森の空気を震わせていた。慌てて窪地の淵まで上がり木立に身を寄せて息を潜める。程無く轟音の正体が魂を食らう精霊集塊の足音だと目の当たりにする。あっという間に窪地は飲まれ、通り過ぎた後にはむき出しの土肌が広がっていた。
地面を覆っていた草木と苔が無くなり、露になった人の頭部が先程のか細い声の持ち主だった。
土に埋まっている男を掘り出そうと近づいて、ウーリーはある事に気が付いた。
埋まっている訳で無く、男には首から下の体が無い、という事に。
気まずげに男はウーリーから目を逸らす。だが正面を向いたままの男の顔には、緊張した面持ちが隠し様がない。ウーリーは首だけの男を気持ちがるよりも、むしろ好奇に目を輝かせ、積極的に話しかける。「名は?」「どうして此処に?」「触っていいかい?」
男は根負けしたか、名は忘れた、と言った。好きに呼べばいい、とも。ウーリーは男に"クヒト"と言う名をつけた。そしてウーリーは"クヒト"を連れて旅する決意をする。
森を出た二人は近くの町に立ち寄る事にした。ウーリーは"クヒト"をリュックに入れ、何食わぬ顔で街を闊歩する。リュックの二穴から街の様子を見ていた"クヒト"は、宿の部屋で対面するウーリーに随分と驚いた顔を見せていた。
ウーリーはこの世界の現状を"クヒト"に話し出した。世界が自分の記憶している時よりも随分経ってしまっている事を、"クヒト"は改めて知る。
「それで、今君は何がしたいかな?」
-------------------------------------------------------
【人物・その他設定】
●クヒト(元 シンヤ)
人間の頭部だけの生き物。元々は異世界(日本)から召喚された高校生。
召喚先の大国でよくわからないまま魔物討伐の先鋒に利用され、ゲーム感覚で魔物を好きに殺していたら、魔物の王国との大戦で仲間意識の強い魔族の強敵に首を刈られ、死んだ…筈だった。
体を手に入れる旅を続けていく中で、触手を取得。毛髪は自由自在に動かせる。皮膚は硬質化で防御し眸膜細胞まで発達させる。首下は太短触手でタコが陸地をスローに這ってく程度に移動可能。
●半獣人の少女(初めの連れ)
獣人からは人間の血を理由に疎まれ、人間からは獣人の血を引くことで怖がられ、どちらにも馴染めず独りで生きてきた。クヒトに手を出したのは、同様に皆から疎まれていたから。
半グレ位の少しツンデレな性格。身体能力は並みの人間よりかは高い程度。
●魔術師(二番目の連れ)
天才的な魔法能力を有する。だが、群れるのは嫌いで何処にも所属せず、単独で諸国を回っていた。高慢な性格、他人に頭を下げるのは嫌い、単独プレイ型。
クヒトは人語を解す玩具とみているようだった。
無い筈の肉体を弄られ、痛めつけられるのは本当に地獄だった。
「ほう、この私に楯突く気か。」
「成る程、な。これをこうして…ほう、ここが一番感度が良い様だ。」
「煩い奴め、まだ懲りぬか。」
●ウーリー(謎の旅人)
当たり障りの良い物腰の青年。いつも笑っていて、どんな揉め事にも的確に対処していく。飄々としている。
只の旅人だと言っている割に、幅広く顔が利き、物事に精通している。クヒトの知らない秘密も色々知っている模様。
ウードルヴァイン(本名) 元大賢者。最高司祭を経て。
「僕はウーリー。初めまして。」
「そうだね。じゃあクヒト、でいいかな。首の人だから。」
「堅苦しいのは好きじゃないんだ。」
●サーヤ(ウーリーの弟子)
天然で明るい性格。クヒトの姿にも全く物怖じしない。
●ベニエラ(クヒトと馴染みになる首人間)
失われた小王国の首柱だった。額の命石は紅。首から下は失われた小王国の姫のもの。彼女と姫は強い絆で結ばていた唯一無二の親友だった。姫の両親である王と王妃を殺した人物に復讐する為に今まで生きてきた。律儀で真面目。お風呂好き。
「貴様、絶対に許さない」
「やめろ…やめてくれっ!! 身体を傷付けないでくれっ」
「これは…大事な…大切な親友の
●ショウゴ(省吾)
クヒト(元 シンヤ)と共に召喚された高校生。精神は召喚主の司祭に殺され、肉体を乗っ取られる。肉体から弾かれた魂は、世界に沈着して混ざり込んでいる。
●マヒル
クヒト(元 シンヤ)と共に召喚された女子高生。ショウゴが自分の力を上げる為に強引に命を奪われて、魂だけうっすらと彷徨っている。
-------------------------------------------------------
【数万年後(出来ることなら漫画書き希望)】
●主人公
政府公認の
クヒトと専属でバディを組み、業務に当たる。
コードネーム兼あだ名が何故か『ウィンナー』で、そう呼ばれるのが恥ずかしい。
最初はクヒトの事を何も知らず、初日の業務で色々知って驚愕した。
ほぼ、役割はクヒトの体運び。
●クヒト(元 シンヤ 仇名:不死身のタコさん)
古代の遺跡より発掘された不死身の存在、遺跡人。no.0の首な為、額の命石を持っていない。元々彼が召喚者でありながら不死力という異常な力を持つ故に、以後の召喚者に付けられたのが暴走防止用の額石、ナンバーストーンである。命石とも呼ばれるばれるその石を破壊、または取り外されれば、首は死ぬ。
●
首が封じされている神秘の柱。様々な力を持ち、国家を守護、防御する礎でもあった。
●
牙・幽・爪・角・蔓・根・花 とその姿、能力から仕様分けされている遺界より出現する化け物。
●チーム・クアッド
政府公認の
相棒(バディ)を組んでの活動になる。初代のクヒトの相棒は、後にチーム・クアッドの所長となり、二代目共々彼らはクヒトとバディの間は『ウィンナー』と呼ばれてた。
初代『ウィンナー』の所長は滅多に人に姿を見せない。ある瀕死の出来事で巨大ゾウリムシになった。
「僕は…死ねないよ…君を置いて…。だから…大丈夫」
魔人の末裔 秘密結社アポストロフ 幹部7名
の意味
武器・召令獣・アダ名・コードネーム
との掛け合い 主人公となるのはバディの方
書き手募集・丸投げ原案書 九榧むつき @kugaya_mutsuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。書き手募集・丸投げ原案書の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。