24 テーマ:アート・文化(75億分の1 元プロット)

これで作ってね:アート・文化

主人公の過去:解放:正位置

主人公の現在:理性:正位置

援助者:公式:正位置

主人公の近い未来:誓約:正位置

敵対者:幸運:正位置

結末:調和:逆位置


主人公は色を認識することができない。医師曰く、”錐体細胞しかなく、周囲の世界はモノクロにしか見えていない”ようだ。

しかし、色の認識はこの世界で生きるためには必須である。信号を理解できないし、立ち入り禁止も洒落た縞模様にしか主人公は認識できない。そこで主人公は、長年に渡る努力によって、モノクロのちょっとした違いだけでどんな色かを見分けることができるようになった。

ただし、暖色や寒色というような感情に訴える色は理解できない。それでも主人公は、感受性に訴える色は無くても良いと考えていた。危険な色等のパターンを全て暗記してしまえば、この世界を生きていけると信じている。


何とか20代になった主人公に大きな転機が訪れる。同じ症状の女の子Aが現れたのだ。

Aは主人公と逆に、感受性に訴える色の研究こそが重要だと考えており、24時間365日を研究に捧げていた。

ただ、主人公と出会ってから、300日になったが。


価値観は相容れないが、同じ境遇の二人が愛し合うのは必然だった。お互いのことを自分以上に知ったきになれるくらい時間が経った頃、Aが突然自殺してしまう。絶望にかられた主人公は、後を追うことを考えるが、Aの遺書を発見する。


Aの遺書には、暖かい感情の公式を見つけてほしいということが書かれていた。

また、「感情を呼び起こすモノクロパターンを生成する公式」についての膨大な研究資料が残されていた。そこには、モノクロの表現方法の違いを数値化して解析し、共感覚や感情に訴えるモノクロを作る手法が書かれていた。

研究には、パターンの生成のための重要な定数が抜けていた。そこで主人公は最後の定数を見つけてから、後を追おうと決意する。(誓約・正)


長い年月が過ぎ、ついに、主人公は感情を呼び起こすモノクロパターン定数を発見した。この定数はつける変数によって様々な感情を生成することができるようだった。もちろん主人公が始めに作ったモノクロパターンは「暖かさの変数」を用いて生成されたパターんだ。

主人公は全心が暖かい感情に包まれるが、同時に、同じ症状の女の子が自殺した理由を理解する。


女の子は、主人公よりも早く感情に対する公式を見つけていた(幸運・正)。しかし、見つけた時の変数の値によって、「死の恐怖を呼ぶモノクロパターン」ができあがっていた。そして、このパターンによって呼び起こされた感情に耐えられず、自殺してしまった。研究の抜けは死や恐怖のパターンを作るための変数部を雑に消したためであった。


女の子Aは遺書によって、暖かなパターンの発見を主人公に託すことで、主人公が死や恐怖のパターンに打ち勝つことを期待した。

全てを理解した主人公は、暖かい感情が心を埋め尽くしているにもかかわらず、悲しみの涙をこぼす。(調和・逆)

そして、約束を果たした主人公は後を追おうとすると、まるでAが引き留めているかのように、暖かい感情の波が心を満たしていく。


Aと主人公の差は、死を呼ぶ恐怖と暖かな感情のどちらが先に与えられるかの違いしか無かった。変数の差はちょうど一刹那であった。

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