7 テーマ:サバイバル

これで作ってね:サバイバル

主人公の過去:善良:逆位置

主人公の現在:誓約:逆位置

援助者:清楚:正位置

主人公の近い未来:信頼:逆位置

敵対者:変化:逆位置

結末:結合:逆位置


 文明の崩壊から300年が経った。地球温暖化の責任の押しつけから始まった第5次世界大戦は世界人口の8割を滅亡させ、全員で責任を取る形で終焉した。もちろん、当初予測の3倍の気温上昇と3度にわたる世界大戦の爪痕は深く、人類の領域は2320年の時点で標高2000m以上ある地域のみに絞られた。

 主人公は崩壊後第5世代として日本の富士山5合目で生まれ、15年間育った。主人公は5合目町が嫌いだった。世界がすでに終わっているのだから何をしたって良いはずなのに、300年前の世界を理想として、その理想に近づこうとしていた。そこには法律があり、学校があり、病院があり、商店街が有った。しかし、そのどれもが主人公をしばりつけるように感じていた。その筆頭のルールが「富士山に登ってはいけない」というモノだ。富士山を登って、帰ってきたものはいないと言われており、このルールについてだけは、町は恐ろしいほど過敏で、登山道の入口には関守が24時間監視している状態だ。

 主人公はある時、富士が浜に流れ着いた一人の少女を救う。周囲に2000m以上の山がゴロゴロしている日本では、別の島にも住人がおり、たまに遭難して流れ着く人もいるのだ。主人公に救われた少女は、別の島から追い出されたのだと語り、主人公に何か恩返しをしたいと言い出した。(清楚・正)そこで、主人公は少女が乗ってきたボートが欲しいという。このボートによって町の裏側に周り、朽ち果てた富士宮ルートで山頂を目指す。

 最小限の荷物を携え、主人公は富士山を登り始める。地球温暖化によって森林限界が変わり、山頂までが富士の樹海となっており、行けども行けども全く同じ景色になってしまうため、主人公はかろうじてあった道を見失ってしまう。持ってきた携帯食料と山菜で3日ほどさまよいながら食つなぐと、主人公の前に、開拓された小さな村が現れる。そしてそこにはなんと、町で救った少女がいた。

 実はここは300年前に噂されていた、自殺志願者や犯罪者が富士の樹海に作った村の生き残りであり(信頼・逆)、そんな村で少女は婿を探すために、5合目町に来たのだという。そして、少女は主人公にこの村で生活して子供を作れと誘う。村を案内された主人公は5合目町との差に愕然とする。

 法律がないため、村で犯罪が起きれば、長老が私情で判断する、全ての村人が村長にごまをすっていた。

 学校がないため、主人公が話す理屈に少女たちはついていけない。

 病院がないため、疵がない大人は存在せず、長老でさえも40代だ。

 商店街でころか、5合目町には存在していたはずのお菓子も、米も、調味料も存在しない。

 そんな村で1週間を過ごした主人公は村を抜け出して、町に帰ろうとする。鬼のような形相で追ってくる少女と村の人々。主人公は彼らが犯罪者の末裔であったことを思い出し、とんでもない恐怖を覚えながら、駆け出していく。

 必死に坂を降りていき、ついに体力の限界が来た主人公はその場で崩れ落ちる。静まり返った樹海の中で少しずつ人の足跡と灯が近づいてくる。もう終わりだと諦めかけたその時、灯から顔を出したのは5合目町の関守だった。関守は主人公を保護し、顛末を聞く。そして、富士山に登ってはいけない本当の理由を教えてくれる。

 富士の樹海には同じように犯罪者や自殺志願者の村がいくつも点在しているため、町の住人が近づけないように戒厳令を敷いているとのことだ。また関守も、犯罪者の村の住人が町に入ってこないように守る役目を担っていることを知る。

 そういった村の情報が隠されているのは、法律上、同じ人間である村人を認知してしまうと、犯罪者や自殺志願者で純化された村人を町に迎える必要があるため、そもそも村は存在せず、富士山に登ってはいけない、というルールを作ったということとのこと。

 そして、その事情を知ってしまった主人公はもう町には戻れない。関守の中でも極悪な部分、富士の樹海にいる全ての人間を殺す使命を帯びた「処刑人」として、生きることとなる。(結合・逆)

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