三
木刀で戦う男がいた。男はうずくまる老夫婦を狙うアンドロイドに向かって走った。
「とお!」
男の木刀がアンドロイドの足を折った。アンドロイドは傾き、倒れた。そこへ男が止めの一撃を食らわせた。アンドロイドは機能を停止した。
「大丈夫でしたか?」
「はい。」
「あっちの方はアンドロイドがいないので安全です。」
「ありがとう。あなたのお名前を教えてくれますか?」
「私は、シンメンタケゾウ。では」
「シンメンさん。頼もしい人」
その後も男は人助けを続けた。その時に男はある事に気づいた。
「アンドロイドたち、同じ方へ向かっている」
男はアンドロイドの後を追った。丘の上に大量のアンドロイドが群がっていた。アンドロイドの群れは上を狙っていた。男は上を見ると、巨大な靄があった。
「あれは何だ?」
その時、小さな光が抜け出て、男に言った。
「あれは死んでいった人間の魂の集合体だ。」
「魂の集合体か・・・ってお前は誰だ!?」
「私はアグル。霊界ウルトラの星の戦士だ。」
「全く分からない。ところでどうやって、いつ、どこで入った?」
「私たち、ウルトラの戦士にとって人間の体と一体化することは容易だ。だが、あまり一体化を好む戦士はいない。私を除いて。君が老夫婦の前の人間、確か親子を助けた時、その場所で入った。」
「それにしても戦士には見えない。」
「では、お見せしよう」
小さな光は人の姿になった。
「おお、すごい。それで、あれは本当に魂の集合体なのか?」
「本当だ。残留物質というべきか。思いが強ければ強いほど目に見える。」
「そういうことか。だから、アンドロイドは人間と間違えて狙っている。」
「おそらくそうだろう。ところで、一つ聞く。君は私の星へ来る気はあるか?」
「つまり地球を離れるということになる。少し考えさせてくれ。」
1分後、男は答えた。
「わかった。そこで、一つ頼みがある。生き残った人間全員で行くことはできるか?」
「それは難しい。何故なら、私のような戦士では一人しか連れていくことができない。六使徒であれば、可能だろうが」
「六使徒?」
「彼らは任務で忙しい。」
その時、アンドロイドの群れの一機が男を狙い、銃を撃った。
「うっ・・・」
「しまった。待て。すぐに星へ向かう。」
光が手を伸ばすと、空間の歪みが発生した。光が男の体に入ったとき、アンドロイドの数機が銃を撃った。避けきれず、何発か体に受けた。
「ぐ・・・何としても連れて行く。それまで生きろ。」
しかし、アンドロイドの群れが全機狙った。
「もう少しなのに・・・間に合わない」
その時、アンドロイドの群れが銃に撃たれ、次々と倒れて行った。撃った方を見ると、そこには老夫婦とその他大勢の人々がいた。
「これは一体・・・?」
老夫婦から二つの小さな光が抜け出た。
「アグル。無事か?」
「1人で格好つけやがって」
「その声は、グッドとラック・・・」
「他にも六使徒が全員いる。」
「六使徒が全員・・・」
「それより早くしねえと死んじまうぞ」
光たちの力で空間の歪みが大きくなり、生き残った人々がそこへ入っていった。男はそれをかすかな意識で見ていた。
「あの老夫婦が飛んでる・・・死んだのか・・・老夫婦も私も」
しばらくして、男は意識を取り戻した。
「目を覚ましましたか。私はアナスタシア。ここ、シンボルタワーで怪我を治療する代表を務めています。」
「では、私は生きているのですか?」
「はい。あなたの他にもシン・ガイア、いえ地球からこの霊界ウルトラへ来た方々は全員無事ですよ。」
男は起き上がり、窓の外を眺めた。そこには、美しい街並みが広がっていた。
「ここがウルトラの星か。何て綺麗な星だろう。」
アナスタシアが言った。
「地球も綺麗な星ではありませんでしたか?」
「綺麗な星でした。とても」
扉が開く音がして、アグルが入ってきた。
「失礼します。アナスタシア様。突然の治療をして頂きありがとうございました。」
「いえいえ。ゼウスとミズーリオはあなたたちをほめていましたよ。」
「王が褒めて下さったとは一体どういうことでしょうか?」
「ゼウスは言っていました。何度繰り返しても地球は滅亡を迎えてしまう。それは、些細なことをきっかけに始まり、大きくなった。その原因はドリーム社の2人だけではなく、人間なら誰もがそうだった。それを止めることは我々にもできなかった。生き残った人間を一人でも救うことが大切だった。アグル、ラウス、セブン、彼らに力を貸そう。地球を愛する戦士たちのおかげで地球を救うことができる、と。」
「それで、六使徒が来て下さったのですね。」
「でも、どうしてそんなに地球を愛するのですか?」
「それは私が見てきた中で地球が一番綺麗な星だからです。」
そこに老夫婦が入って来て、男にお礼を伝えた。その様子を見て、アナスタシアは納得した。その後、六使徒は九使徒になった。
完
未来編 ソードメニー @sordmany
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