二
ある者は、雲を見て未来を占うことが出来た。ある者は、穴が出現する少し前から現在まで空に祈り続けていた。マグロの骨を被った者は、必死に祈る者を見ていた。その者は意を決し、穴の端に来た。現在、その者は躊躇っていた。穴の中を覗き、底の見えない闇に恐れおののいた。その時、足が滑り、その者は穴の中へ落ちて行った。軽くなる体。どこまでも続く闇。薄れていく意識。
その者は後悔した。その者は初めての狩りを思い出した。その者はそれから自分で狩りが出来るようになった。自分の力で生きることが出来るようになった。しかし、今は自分の力でどうすることもできなかった。一瞬の出来事だった。目を閉じた時、眩しい光を感じた。温かく優しい光に包まれて心地よさを感じた。その者は目を覚ました。そこは、穴の底だった。遠くの方に小さな光を見つけて、その者は歩いていった。その光に触れると、強い意思を感じた。その時、どこからともなく現れた魔物に驚き、その者は後ろに倒れた。
その者は意を決し、槍を投げた。しかし、魔物は躱し、邪悪な牙と爪をむき出しにして襲ってきた。死を覚悟したその者だったが、死んだのは魔物だった。その者の前に、オオワシの骨を被った者がいた。その者は、茫然としていたが、去っていく前の者を急いで追った。進んだ先には、小さな光が点在していた。そこにいた者たちが光りに触れると、魔物たちが現れた。クマの骨を被った者は弓を構え、矢を放った。魔物は矢が突き刺さって死んだ。しかし、魔物の群れが囲んだ。後ろの者を庇うクマの骨の者は、矢の雨を降らした。魔物たちが次々と消えていった。残り一体の魔物を倒したのは槍だった。その槍の持ち主のオオワシの骨の者とクマの骨の者は共に腕を上げて叫ぶと、奥へ進んだ。
マグロの骨の者は後を追っていった。小さな光は少しずつ大きくなり、増えていった。途中、戦う者たちが倒れていた。聞こえるのは討たれた戦士の叫び声。もう一方で、聞こえるのは勇ましい叫び声だった。魔物は大きく、凶暴になっていた。その魔物に恐れず立ち向かう戦士たち。マンモスの骨を被った者は魔物の攻撃を骨で受け止めた。そして、骨についた牙で返り討ちにした。オオワシの骨、クマの骨、マンモスの骨の者を先頭に戦士たちは叫びながら、奥へと進んだ。
一番奥。そこには、途轍もない大きさの光の塊があった。その塊の光は眩しかった。しかし、温かく優しい光とは違った。眩しいのに暗く邪悪な光だった。その塊には近づくことさえ難しかった。そこに、槍とも違う武器を持つ者がいた。それは細長く鋭い武器だった。その者の元に戦士たちが集まった。マグロの骨の者は最後尾にいた。あの光に触れた時に現れる魔物を想像して恐怖を感じていた。その時、現れたのは、戦士たちと同じ姿をした一人の者だった。
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