第4話 ぶっ壊れ伝説級固有スキル
「……分かりました。ありがとうございます。それで念の為にもう一度だけ聞きますけど、本当に打っていいんですね?」
『ええ、もちろんです。むしろぶっ壊すつもりでカモォォン!!』
という訳で鳥野郎の場所も分かったし、言質を取ったので遠慮なく殴る事にする。
念のためにスキルを確認だ。
************* スキル詳細 *************
〈黒炎放出〉 必要装備:剣 発動:
黒鳳凰の祝福を持つ者専用クラス【黒炎の魔剣士】の初期スキル。
生命力を消費して黒炎を飛ばす。生命力を沢山使うほど威力が高くなる。
消費:生命力10% 属性:炎 威力:物攻100%+魔攻100%
特性:追加で生命力を1%消費する毎に1%ずつ威力(物攻分)が上昇。
*********************************
スタータスからスキルをタッチすると、詳細が表示された。
見ての通り生命力消費のブッパ技である。
それも初期スキルにしては火力が高い。
戦士の初期スキルが物攻150%なのを考えると、計200%は破格だ。火力こそ正義の俺としては嬉しい限り。
ちなみに【ぼくのぞ】のスキルはポイントを消費して習得する
Lv1~9は10Pずつ、10~19は20Pずつって感じ。
また本来はLv1で10SPあるはずだけど、俺の場合は自動消費されたのか0だった。
「これなら良い感じに火力を出せそう」
『本当ですか!?』
「ええ、私の固有スキルとのシナジーはバッチリよ」
それから今回はせっかくなので、アビスリンの
このスキルの効果は「武器の攻撃力」をレア度に応じて「倍化」すること。
その倍率は20~99倍で、レア度が高いほど高くなる。なのでこの聖剣なら間違いなく最大倍率になるだろう。
つまり武器攻撃力1000×倍率99で攻撃力99000だ。
ゲーム序盤で退場するキャラだからこそ許された、ぶっ壊れ
代わりに使った武器は完全に消滅してしまうが、まぁこの聖剣なら別に構わないだろう。どうせ後数日で壊れるポンコツだし。
「よっし、では行くわよ?
『イェスッ!! イッツ、カモォオオオーーーーン!!』
気が触れたようにテンションを上げる世界樹の化身。
だが俺は冷静に固有スキルを発動する。
すると剣の表面がドロリと溶け出し、どこからとも無く警告音が鳴り始めた。
――ピューゥ!! ピューゥ!! ピューゥ!!
エヴァで使徒が襲来した時に鳴っているような音だ。
聞いてるだけで不安になってくる。が、ぐっと我慢して剣を構える。
参考イメージは腹ペコ黒王(FGO)の宝具。
俺は出来るだけ威力が高くなるように(生命力全ブッパ)と念じながら、剣を下段斜め後方から、掬い上げるように前へ突き出し〈黒炎放出〉を発動する。
……いいぜ、やれって言うなら殺ってやるよ!
まずはその、ふざけた性癖をぶっとばす!!
「――ヤケッパチ!! カリバァァアアアアアアアアーーーー!!!!!!!!」
『キタァアアアアアーーーー!!!!』
黙ったままでも使えそうだったが、何となく
だがついに放たれた黒炎は想像の何百倍も大きかった。
「……えっ!?」
――視界が一瞬で真っ黒に染まった。
世界最強の剣を消滅させた上で、生命力を限界まで削って放たれた黒い炎は、渦を巻きながら極太の暗黒ビームとなって前進!!
『オッホ!! イッグゥウウウーーーーーー!!!!!!!!』
「ちょっ、まるでフルパワーのエクスカリバー・モルガンじゃない!!」
ノリで叫んだら本当にそれっぽい奴が出ちゃった!!
一拍遅れて世界を揺らすような轟音と、吹き付ける熱風。そして汚い悲鳴。
『アピィイイイイーーーーーーー!!!!!』
余りの威力に唖然とする俺の前で、世界樹の化身が黒炎に燃やし尽くされていく。
ギリギリでチラっと見えた最後の姿は、満足そうなアヘ顔だった。
口端を吊り上げ、鼻水とヨダレを垂らしながらのダブルピース。笑顔が汚ぁい!!
「……げほげほっ、なんなのコレ!? 幾らなんでも威力高すぎでしょ」
吹き荒れた爆風で喉と目が痛い。
そうして黒炎が収まると、もはや世界樹の化身の姿はどこにも見当たらなかった。
完全に消滅してしまったのだろうか? 後に残ったのは地面に真っ直ぐ伸びる焦げ跡と、ボウボウに燃え始めた世界樹だけ。
「うわ、世界樹まで焼いちった……。これ私のせいじゃな……、いやどう考えても私のせいだわ」
あっと言う間に火が広がり始めた世界樹を見上げる。
元が枯木だったからかよく燃えている。下から立ち上る炎が次々と枝に燃え移る。 これではもはや消化なんて不可能だろう、それほどの勢いだ。
そうしていると戸惑う俺の脳内に、機械の合成声のようなアナウンスが流れた。
――ピロリロリン!!
――世界樹の化身 を討伐しました!!
――大量の経験値 を獲得しました!!
同時に体の奥へ、熱いエネルギーのようなナニカが、大量に流れ込んでくる。
恐らくこれが経験値なのだろう。ただちょっと、いやかなり大きい予感。
「ちょっ、まっ!? ……んっほぉオオオオオオ!! 経験値が入って来りゅぅううーーーー!! 中がッ!! グチャグチャになっちゃうのっほぉおおおおおーーーーーッ!!!!」
一度に大量に得たせいか、すりこぎ棒で体をこねられてるみたいな衝撃だ。
お餅のように体がビッタンビッタン!! 耐え難い衝動にガクガクと全身が痙攣、その場に倒れ込む。なんという快感。病みつきになりそう。
そして、その痙攣が収まった時――
――ピロリロリン!!
――Lvが 57 にアップしました!!
――生命力が 5020 上昇しました!!
――魔力が 2500 上昇しました!!
――物攻力が 514 上昇しました!!
――物防力が 261 上昇しました!!
――俊敏性が 248 上昇しました!!
――精密姓が 115 上昇しました!!
――魔攻力が 369 上昇しました!
――魔防力が 250 上昇しました!
――SPを 1960 獲得しました!!
――多数の新スキルが取得可能になりました!!
俺のLvは57まで上がっていた。
これには思わずグっと拳を握りしめてガッツポーズ。
世界樹が燃えていることなんて一瞬で頭から消し飛んでしまった。
「すごい! いっきにLv57!! まさか本当に倒せるなんて!!!」
イェスイェスイェス!! やったぜ!!!!
コレは嬉しい誤算だ。まさか本当に倒せるとは思わなかった。
自虐しすぎて生命力がミリだったのかな? チャレンジしてよかった。
世界樹の化身さんは経験値の塊だったんやなって。今なら心からのダブピーで黙祷出来そう。想像を超えたLvアップに頬が綻ぶのを止められない。
――ピロリロリン!!
――世界樹の祝福(極)を獲得しました!!
――効果1:生命力の回復量常に2倍
――効果2:世界地図が回覧可能
――効果3:ドSの存在を感知するレーダー
――効果4:死ぬと心臓から次の世界樹が生える
「はっ? 心臓から、次の世界樹……????」
だがそんな喜びも、最後のアナウンスを聞いて凍りついた。
……あかん、これバレたらヤバい奴だ!!
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