お題「モンスターハンター」

 出会った時には、先輩はすでに名うてのハンターだった。

 そんな先輩の弟子として、私は今日も、モンスターを狩る。

 今日のターゲットは、ドラゴンだ。ドラゴンを狩れるハンターは、片手で数えられるくらいしかいない。そのうちのひとりが、先輩である。

 私は、先輩と連れ立って、ドラゴンの巣へ向かった。

 巣から誘き寄せるために、私たちは、煙を焚き、巣穴へと扇ぎ入れる。

 ものの10秒で、真っ赤なドラゴンが怒りながら出て来た。


「やるぞ」

「はい!」


 私たちは、短く言葉を交わし、戦闘態勢に入る。

 先輩は、大剣をドラゴンの翼に振り下ろした。飛んで逃げられないように。


「グギャアッ!」


 ドラゴンは喚いた。

 私は、もう片方の翼に、ボウガンの矢を放つ。見事に命中。ドラゴンは、唸り声を上げた。


「炎がくる」


 先輩がそう言うと、ドラゴンは口腔から、炎を吐いて、私たちを焼き殺そうとする。

 ふたりで、横に飛び込むように避けた。

 先輩は、どういう訳か、ドラゴンが炎を吐くタイミングが分かるのだ。

 それからは、ドラゴンの一撃を先輩の合図で全て躱して、ターゲットにダメージを与え続ける。

 そして。とうとう、ドラゴンが地に伏した。

 先輩は、とどめにドラゴンの首を落とす。


「ご苦労様」

「お疲れ様です」


 私は、村の商人たちを呼び、ドラゴンの死体を売り払う。ドラゴンに捨てるとこなし、だ。鱗も牙も心臓も血液も肉も、全てが高値で売れる。


「先輩、どうして炎を吐くタイミングが分かるんですか?」

「そろそろ種明かししてもいいかもな。ドラゴンは、炎を吐く前に舌を鳴らすんだ」

「なるほど。そうだったんですね」


 私は、納得した。先輩の強さの秘密は、観察眼の鋭さなのだ。

 そんな強い先輩に、背中を預けられるようなハンターになりたい。それが、私の夢。


「今夜は、ドラゴンステーキですね」

「ああ。腹いっぱい食べよう」


 狩って、食べて、眠って、また狩る。私たちは、そうやって生きていくんだ。

 先輩、私を置いて行かないでくださいね。

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