第2話
礼子と登校して教室にはいる。
俺達は席も隣だ。
もうこれは運命が俺達に結ばれろと言っているに違いない。
そんなクラスが騒めいている。
「転校生だって」
「どんな子かな~かっこいいといいな」
「そこは可愛い子のほうがいいだろ」
「アンタには聞いてないわよ」
クラスメイト達の他愛無い会話が聞こえる。
まあ俺には関係ないことだ、俺には礼子がいるからな。
ガラガラと教室の扉があき、先生が入ってくる。
「えー、皆知っているようだが、今日から転入する生徒がいる。皆仲良くするように。ほら、入ってきてくれ」
その声に反応して一人の男が教室に入ってくる。
背が高く股下も長い。金髪で銀色の目をした、外国人にしか思えないその男が紹介の挨拶をする。
「転校してきました、安藤ロイドと言います。よろしくお願いします。趣味はスポーツ全般です。運動部の助っ人にどんどん呼んでください。アンドロイドです」
安藤ロイド、名前も安直だがアンドロイドだ。
別に珍しいことでもない、家の都合だったり、何かの実験だったり、急にアンドロイドが来ることは俺の人生の中でも何回かあった。
大体こういうのは若年層のデータを取るものというのが相場が決まっている。
俺は冷めた目で安藤を見ていた。
礼子はいつもとは違ってキラキラとした目で安藤を見ている。
「かっこいいね~安藤君」
「俺も負けてないだろ?」
俺はいつものように軽く冗談を言う。
「う~ん、そうかな?」
「そうだよ!」
俺と礼子はいつも通り軽口を叩く。
礼子は意外と毒舌なところがあったりするが、それもまた人間らしくていい。
アンドロイドには出来ない仕草だ。
アンドロイドは完璧すぎるきらいがある。
人間と同じ人権を持ちつつも、その性格は善人のそれだ。
悪に走るアンドロイドはいない、犯罪発生率脅威の0パーセントである。
それは五百年経った今でも治っておらず、品行方正が板についている。
「それじゃあ安藤の席は、
先生が安藤の席を指定する。
俺の席は窓際最後列、そりゃ後ろは空いている。来るよなあここに。
正直なところ、来てほしくない。
俺がアンドロイドを嫌いというのも理由ではあるが、極力礼子にはアンドロイドとの接触をさせないようにもしていたからだ。
廊下にあった机と椅子を持ってきて、後ろに座った安藤が俺に声を掛けてくる。
「よろしく、
「……ああ、よろしくな」
「あ、私幼馴染の河合礼子です。健介とおなじくよろしくね」
いいんだよ、礼子は挨拶なんてしなくて。
これは俺と安藤だけで終わらせておけばいい。
頼むから俺以外を見るな。
お前は俺だけを見ていればいいんだから。
しかもよりにもよってアンドロイドを見るなんて。
朝のHRが終わると、安藤のもとに多くの人が寄ってきた。
やれどこから来たのか、何が目的なのか、両親は? とか
この手のアンドロイドには守秘義務があり詳細は話せないことが多い。
適当にはぐらかす安藤の言葉を聞き流し、礼子の方を見る。
周りの野次馬と同じく安藤の言葉を聞いているようだ。
もしかして、安藤に興味がある……?
やめてくれ! 礼子までアンドロイドに惹かれてしまったら、俺はどうすればいい。
まずいな、折角今まで問題なく暮らせていたのに。
安藤の存在が俺の心を激しく揺さぶってくる。
これは早々に手を打たなければならない。
俺は礼子に告白することを決めた。
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