34.【透明に、散る】不二丸 茅乃さん

https://kakuyomu.jp/works/16817330664017007771


あらすじ等(作品ページより引用)

『私』、趣味は夜にする小説投稿サイトでの読み漁り。

基本的毎日夜に小説を読んではそのまま眠る生活をしている。

SNSも使うし多少の交流はする。毎日同じことの繰り返ししかない日々の中、突然小説書きの相互フォロワーさんが筆を折った。


『今までありがとうございました』

『これまで頑張って書き続けて来たけれど反応も無いし、これ以上はやってたって虚しいだけだなって思いました』

『今回の投稿を最後に、書くの止めます』


――他人事だと眺めていたのは、自分が完全に読み専だったからだ。



【注意】

救いの無い話

全体的に仄暗い

特別大きな事は起きない

淡々としている



☆☆☆



第34弾です。

不二丸 茅乃さん、ご参加ありがとうございます。

がっつりネタバレ含みますのでご注意下さい。




さて、以前、瑞樹(小原瑞樹)さんが【ライフ・ワーク】を通じて、小説を書くことについて書いておられました。

話が逸れますが、瑞樹(小原瑞樹)さん、ハナショウブ賞という賞を受賞されて、書籍化もされるそうです。すごいですね。一つの夢の形だと思います。


戻りまして、今作はその『小説を書く』ことについての中でも、『投稿サイトを通じての交流』についてでしょうか。


もう一つ狭いというか、捻った形と言うのでしょうか、自分も小説の投稿サイトのユーザーですので、読む前に少し背筋が伸びるような感覚がありました。


或いは、それも含めてうまく誘われた、という部分もあるのかなと思います 笑


作品そのものの感想について初めに。


構成がすごく上手です。

上手ですというとなんか上から目線な感じがするので、言い方がないかと考えたのですが、……構成がすごく上手です 笑


こんな貧弱な語彙で感想企画やってていいんだろうか?とも思いますが、いいんだと思います。

こういうのが大事って、それこそ、作中に書いてありましたから 笑


はい。真面目に戻ります。

全部書きますので、未読の方はご注意ください。





主人公が置かれてる境遇というのを、すごく上手に隠したな、というのが一番でした。

境遇が分かった時に、ぞくっと来ました。私は。


何となく使っている人かと、思いきや、実は心の支えとして作品の更新があったという仕掛けは、見事でした。


追いかけていた作者の断筆に対するリアクションも含めて、ありきたりを貫きつつ、その背景というか内面で起こっていた動揺の大きさ、非日常に足を突っ込んでいるが故の、平静への渇望。そして、その崩壊。


ユーザー同士のやり取りについて、意識を向けさせておいて、その背後で、仕掛けを動かしていたのかな、というのも思いました。


とても、面白かったです。



さて、その一方で、ユーザー同士の交流についてはどうなんでしょうか?

分かるんです。

凄く。

分かるんですが、『想像できる』という感じでした。


或いはそこにそんなにリアリティを持たせてないのかな?とも思うんですが。


難しいと思います。

何がって、『カクヨム』さんだとそこまでノーリアクションて起こりにくいからです。リアクションを作る方法ってたくさんあるので、反応が欲しく欲しくて、でも全然なくて……っていう状態にはなりにくいでしょうね。


『小説家になろう』さんだと分かります。

あちらは、本当に読み専の方が、がっちり読み専なので、リアクションが全然ないというのもよく分かります。


ただ、その場合でも、これだけ色んなサイトが乱立してるので、サイト一本に全賭けでリアクションが無くて心が折れるっていうのは……書き始めだとまだ分かるんですけどね。

ある程度、更新してて、しかも更新すればそこそこのPVが付く状態であれば、こういう結論にはならないんじゃないかな?と思います。


私がトライアンドエラーを楽しんでいるから、そういう感覚なのかもしれませんが。


そして、もう一つ難しいのが、たぶん、この作品て、なろうさんじゃ無理で、カクヨムさんじゃないと盛り上がらないんですよね 笑


アルファポリスさんやノベルアップさんは使ったことないので、雰囲気分からないんですけど、カクヨムさんはかなりコミュケーションが起こりやすい構造になってます。

SNSだって話は別の場所でしてるのでしないんですが、だからなおさら、イメージの話になるのかなと思います。


あと、もう一つ分からなかったのが、あらすじちゃんと読めよ、って言われればごめんなさいなんですけど、主人公が書いてる人なんだろうなって思ったんです。

相互フォローって言葉が使われてて、どういう状況を指してそういう風に言うのかいまいちわかってないのも悪因なんでしょけど、読み専の人と、書く人とで相互フォロー、しかも交流はない、この形がどういう状況なのかよく掴めなかったです。

それこそなろうさんなんですかね?

あちらは、フォローし合うとDMが送れたりしますので。


後は、読む人に「こうなる前にリアクションちゃんとしろよ!!」っていう脅迫というと言葉が悪いですが、敢えて言います。脅迫文を叩きつけたっていう面もあるのかな?と思いました 笑


書いてる側からすると、リアクションがあるってホントに嬉しいことなのは間違いありません。

PV増えると嬉しいですが、ハート付くとテンション上がりますもんね、やっぱり。


さて、そんなわけで、小説投稿サイトユーザーの色んな気持ちが混ざった今作、改めて書きますが、私は今作の構成力がとても好きです。


ぜひ一度、ご一読を。


https://kakuyomu.jp/works/16817330664017007771


改めまして、不二丸 茅乃さん、ありがとうございました。


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