32.【二日生きた以上】 終楽章さん

https://kakuyomu.jp/works/16817330663415040274


キャッチコピー(作品ページより引用)

「それなら、私が殺してあげる」



☆☆☆



第32弾です。

終楽章さん、ありがとうございます。

がっつりネタバレ含みますのでご注意ください。




あらすじがないぜ!です。

キャッチコピーがないぜ!はよく見かけますが、キャッチコピーしかないぜ!は見たことないなと。

しかも、なかなか殺意に溢れたキャッチコピーですね。



さて、本作の特徴は二人称で話が進む所です。

イメージできますか?

読んでみて下さい。ホントに二人称です。




読んで来ましたか?

さて、二人称で進むんですが、実は一人称です。というか、体質は私小説です。


どういうんでしょう。

主役は鏡なんですよね。

鏡はそれ自体が何か動くわけではありません。

ただ映される。


映す人が何をしているのかを見ている。


鏡が喋ったら、というと話が変わるんですが、主人公は向かいに座る「貴女」の考えていることに思いを馳せ、貴女に自分の思いを伝えたいと考えている。

ただ、自分が何を考えていて、貴女に何を伝えたいのかが分からない。

それが、貴女からの終わり方の提案を見せられるたびに少しずつ輪郭を得てきて、最終的に伝えたいこと、自分の感情の正体が分かる。

そういう話です。


ちょっと書いててもうまくイメージが言語化できてないんですが。



『死に方を考えることは生き方を考えること』というテーマに至っているのではないでしょうか。

つまり、死に様を考えることは生き様を考えること。

人がいかにして終わりを迎えるのが美しいのか?という貴女の小説の中で、貴女の提案する終わり方は、『一人だけいなくなる』ではないんですよね。

全員が、いなくなる。

だけど、『誰か』といなくなるわけではない。


つまり、寂しがりなのに、誰かと繋がるのが怖いんです。

恐らく、この感覚は、貴女と主人公の共通項として始まっているのかと思います。


ただ、貴女は終わり方のパターンを展開していく過程で、段々と死に方のイメージが固まっていきます。

最終的には自殺という手段が一番相応しいと考えます。

しかし、ここが対比の部分で、主人公は貴方から死に方のパターンを展開されるたびに、生き方について考えていきます。


同じ終わり方というテーマについて考えた――一緒に考えてるわけではないので、主体性に違いはあるんですが――終わり方という考えを軸にしたとき、貴女は『死に方』についての推察を深めて死に捕まっていき、主人公は『生き方』について推察を深め死ぬまでの人生のそこで起こる希望を捕まえようとする。


本当に鏡のような関係で書かれていて、対比がしっかりあります。

死に方と生き方のせめぎ合いが表現されています。


それでいて、本質的には寂しがりなんですよね。

死にたいわけじゃない。

生き方が分からないから死んだ方がいいような気がしている。


死にたいと生きたい、どちらにも転ぶから同じテーマで違う結論が出てくるんでしょう。


ホントにイメージが全然言語化できてないんで、伝ればいいんですが。


カフェオレから始まって、

エスプレッソのストレートこそ至高って結論に辿り着きそうになったところで、

ハニーオレが美味いんだよ!って牛乳がひっくり返したみたいな。


台無し感が凄まじいんですが 笑



森山直太朗さんて歌手の方がいまして、その方の歌に、『生きてることが辛いなら』って歌があります。

センセーショナルな歌詞で色々騒ぎになったりしたわけですが、この歌も、死に方を思うことで、生き方に辿り着く歌です。

この歌を思い出しました。


もう一つ、ガガガSPさんてバンドの方もいまして、この方々の歌に『晩秋』って歌があります。

この歌も思い出しました。


死にたいとかって悩みますよね。

私も今でも考えることがあります 笑


ただ、一言あるとすれば、死に方を考えてるうちは子どもです。

死んだ後の片づけのことを考えられるようになって大人です。

子どものまま死ぬのはつまらないですよ。

大人になれば楽しいこと山ほどあるのが人生ですから、と。


さて、生と死について書かれた今作、ぜひ一度ご一読を。


https://kakuyomu.jp/works/16817330663415040274


改めまして、 終楽章さん、ありがとうございました。


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