13.【辺境の魔術師と月下の花嫁】 愛崎アリサさん

https://kakuyomu.jp/works/16817330662823295382


あらすじ(作品ページより引用)

領主の娘クレアに、突然舞い込んだ高名な魔術師との縁談。

実はクレアには、秘密があった。

昼と夜とで、その姿が大きく変貌してしまうのである…。


変化する姿のせいで人との関わりを避けて生きて来たクレアが、一風変わった天才魔術師に見いだされ、自分を信じて広い世界へと足を踏み出していく過程を描きます。


ちょっと変わった二人の、風変わりで、次第にハッピーな結婚生活をどうぞお楽しみ下さい。



☆☆☆



第13弾です。

愛崎アリサさん、ご参加ありがとうございます。

がっつりネタバレ含みますのでご注意ください。




今回は二章まで読みました。

話としてはこの辺まででプロローグですかね。

お互いがガードを解いて、パートナーとして信頼を得たというのが二章です。

ここから、今度は外敵に対して行動をしていき、二人の社会的な安寧を獲得していくという展開になるのかな、と思います。


なんとなく異類婚姻譚かなと思ってたんですが、そんなことはありませんでした。

人恋しいけど、人に素直になれない二人が、お互いを認め合って惹かれていくという話でした。


ど真ん中の恋愛小説です。


感想欄にディズニーっぽいってあって、お返事に違う映画の名前を挙げられてたんですが、確かにディズニーっぽさはあるな、と思いましたが、ディズニーよりも宮崎アニメっぽいかなと思います。


ディズニーのプリンセスはいわゆるヒロイン的なムーブが多いです。

知恵と勇気と愛で!って活躍しますが、さほどヒーロー的な、身も蓋もない言い方をすれば暴力的なムーブってしません。

銃を乱射してるディズニープリンセスや返り血を浴びてるディズニープリンセスって思い浮かばないですよ。

いるのかもしれません。さほど見てるわけではないので。


対して、宮崎さんの作品のヒロインは、ゴリゴリで戦います。

どちらかというと、男の方が頼りなくて、女性の芯の強さとか行動力とか揺るがなさでヒールを叩きのめしていくっていう展開です。

いわゆる『カッコいい女性』が多いのが宮崎アニメです。


今作もそちらに近いんじゃないかなと思います。

一人で生きていける強さがあって、そこにもう少し後一人ぐらい抱える余裕があって、そのスペースにヒーローを納めたいという構図だなと読みました。

『納まる』じゃないんです。『納めたい』。

この漂う「誰かを求めてる感」がないとオッパイのついたイケメンになりますので、話が変わります。


そして、大体こういう構図になると、ヒーローは未熟とか、社会的に地位が低いとか、世間から認められてないとか、そういうマイナスの属性や評価を持っているけれど、将来性があるという人物像が多いです。

大事なのは、足りない部分はあるんだけれども、『ヒモにはならない』ってところです。


これがヒモになってしまう物語だと、ヒロインのカッコよさは半減します。

ただのダメ男好きになりますから。


「一緒にいる方が素敵だけど、別れたとしてもお互いどうとでもやっていくんだろうな」っていう関係性です。イメージできれば幸いです。


なので、この手の話のポイントは、女性の凛々しさと、男性のダメさのバランスです。


今作で言うと、ヒーローさん(一応名前は伏せときます)は、

・王国屈指の天才魔術師

・王様の腹心

という肩書を持ってます。

有能ですね。


但し、

・五回結婚して五回離婚している。

・正体が不明で怪しい。

・家事能力は低い。

・いまいち空気が読めない。

と、有能だけど人としてダメな人です。


しかし、

・生活も性格も破綻していない。

と、最低限の生活力は確保されています。


なので、ここから、クレアと結ばれたことによって、QOL(生活水準)が上がって楽しいな!っていう話になるはずです。

「食事なんて食べられればいいと思ってたんだけど、そんなことはなかったんだね!」とか、「大事な人にきちんと言葉で気持ちを伝えるって大切なことなんだね!」とか、そんなシーンがあるかは分からないですが、そんな雰囲気はあるんじゃないかと思います。


そして、この話はそれが大事だと思います。

変に捻らない。


水戸黄門は負ける必要ないんです。

遠山の金さんが敵につかまる必要はないんです。


ストーリー的な盛り上がりとしての波乱はあると思いますが、例えば、ヒーローが浮気するとかそんな展開は要りません。

アシタカがタタラバで浮気してて隠し子がいました、とか不要ですよね。

そういうのは昼ドラで違う話としてやってくれっていう話です。

そういうことです。


ストーリーの要素として挙げるならば、敵の存在です。

戦争で平和を脅かすのか、政争に巻き込まれるのかその辺は分からないですが、きちんと乗り越える壁も用意されてます。

しつこく書く必要もないんですが、ヒロインの偏差値が80、ヒーローの偏差値が70、敵キャラの偏差値が65ぐらいのパワーバランスっていうのも大事だと思います。

得意科目が違うので、偏差値65に意外と苦しめられたりするんだけども、総合力の差で勝つっていうのも、展開の王道かなと期待しています。


もう一つは、クレアの変身体質の謎がどういう解決を見るのかというのが、大きなアクセントではないでしょうか?

ただ、これがどういう因果に依るものだったとしても、「そんなクレアが素敵だよ」という一言で解決してくれそうな安心感がこの作品の魅力だと思います。


さて、そんな今作、ストレートな異世界恋愛物語が読みたい方には、ぴったりだと思います。

幸せが約束されたお話ですので、心地よく読めるのではないでしょうか?


https://kakuyomu.jp/works/16817330662823295382


ぜひ一度、ご一読を。


改めまして、愛崎アリサさん、ありがとうございました。


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