3.【片翼のラプラスは蝶の夢を見る~私だけが知っている君の物語~】 馬場 芥さん 

https://kakuyomu.jp/works/16817330661669587425


あらすじ等(作品ページより引用)

『ただの異世界転移じゃない?前代未聞の本格ミステリー×ファンタジー開幕!』


みんなが君のことを忘れても、私は決して忘れられない。

だから、この物語に記すことにした。

君が紡ぐこの物語を、そして私がやってきた罪の記録を。

この物語を最後まで読んだ読者は驚くことだろう。

この小説を書いた本当の「意味」を。


◇◇◇


本作の醍醐味は何といっても。ファンタジーにおける「ミステリー史上最大級」とも呼べる衝撃の展開でしょう。二度、三度読み返すことであなたは必ずその伏線に驚愕することでしょう。


すべてが伏線で構成された本作は、物語が進むごとに伏線が回収されていく高揚感、そして読者を惑わすミスリード。


これはただの転移ものファンタジー小説ではない。


卓越した構成力が生み出す最大級の仕掛けをぜひ楽しんでください。


※この作品について考察や質問があれば、丁寧にお答えします。

 応援コメントにあらすじや補足をさせていただいています。物語に置いて行かれた人、概要を知りたい人はぜひ活用してください。



☆☆☆



どんどん行くぜ、第三弾です。

ご協力くださった馬場 芥さんに感謝です。

ありがとうございます。


がっつりネタバレ含みますのでご注意ください。

後、長くなりそうです。




読み始める前の印象から。

煽りが激しいなって思いました 笑

やり方は自由なので良し悪しはないんですが、人を選ぶ表紙ではあるでしょう。


例えば、ラーメン屋さんがあって、店名は「太明軒」なんですが、その上の物凄く大きな看板に『世界で一番旨いラーメン屋』とあります。

そして、入口のドアに『あなたが食べて来た全てのラーメンを過去へ置き去りにする』って書いてある。

店の中は暗めで、他にお客さんがいない。


どういう人が入りますか?っていう話です。

かなりアグレッシブな人しか入らないでしょうね。だって怖いですから。


食べてみると美味しいんですけどね。


フィクションですよ。


個人的には、作者の評価は書かなくてもいいなと思います。

面白いかどうかは読み手さんに任せればいいんじゃないでしょうか。


この辺りは個性だと思います。

ダイバーシティ。大事ですね。


続いて、本編を開いて思ったことです。

縦組みにしてみては?と。


縦書きに出来るんですよね。カクヨム。

書かれてる作品は見たことないですけど 笑

編集画面の左上にある『ツール』を押して、組み方向で『縦組み』を選びます。

すると、縦書きになります。

自作全作品が縦書きなりますが 笑


漢字の多い、硬い文体の作品はいいんじゃないかと思います。

漢字もですが、日本語って縦書きで発達してきた言語なので、文字の流れが縦続きなんです。行書とか見ると分かりやすいです。

縦の方が目が流しやすい字の言語なので、漢字が多い、目の詰まりやすい文章は縦書きで組まれた方が、読みやすいかと思いました。


ますます読む人を選びそうですが。


この辺りは個性だと思います。

ダイバーシティ。大事ですね。



では、作品の中に入っていきます。


がっしりした重い文体で始まります。

始まりますが、丁寧な文章なので、しっかりと読めれば読みにくいということはなく、むしろ読み進めやすいと思います。

流し読みは無理です。


語彙が豊富というのはやはり表現内容の枠をしっかりと固めるために大事なのだなあとよく分かる作品です。


さて、そんな中で気になった点をいくつか。

17話までの感想ですので、今後伏線が回収されると意味が変わる可能性があります。


先ずスタートです。

主人公が右足を失った状態で、どことも知れぬ場所で気付きます。

そこから、その場所を移動するんですが、どうやって移動したんだろう?という疑問が残ります。


片腕、ならわかります。

でも片足を失っていきなり移動って相当難しいと思うんですよね。

寝ころんだ状態から右足折り曲げて、紐でくくって立ち上げるってやってみたらいいと思うんですが、立つのもほぼ無理です。

いくつかの移動を経た後の描写で、松葉杖ついてても片足は辛いって書いてあるので、余計に思います。


ファンタジーだから気にするなよ、と言えばそうなんですが、ミステリーってリアリティが要ると思います。

リアリティがないと謎が生まれない。

そういう意味では、書くのが物凄くしんどい作品だなと思います。

凄いです。


次に主人公の性別です。

男性か女性か。

これこそどっちでもいいんですが、どっちかよく分からない。

感覚が女性っぽいな、と思ったんですが、途中で『彼』と言われてるので、男性なんでしょうかね?

名前も中性的ですし。

分からないようにしてるのかな?と思ったんですが、それこそ途中で『彼』と言われるので、そういうトリックでもないようです。

今のところ話に影響はないんですが、場面描写が精緻なので、そこだけぼやーっとしてます。

ビジュアルは要らないと思うんですけどね。


男性か女性かで話をすると、大量の出血に出会う場面があります。

たぶん、男性だとここで気を失う。

女性だと気は失わない。

出血に対する耐性は出るんじゃないかと思います。

割りと受け入れていたので、女性かな?と思った根拠でもあります。


強い仲間と魔法の登場。

仲間かどうかはまだはっきりしませんが、とりあえず主人公が心を許せる人が登場します。

この女性が強い。

後、魔法も出てきます。


最後まで行くと印象が変わるのかもしれないですが、強い人と、魔法が出てきたのが、個人的には残念でした。

暴力、腕力が仲間になると緊張感がなくなるからです。


殺人鬼に追いかけられる映画があったとして、殺人鬼が持ってるのが錆びたナイフで、主人公が戦車に乗ってたら怖くないです。


魔法もです。

単純に炎がバーン、雷がドーン、氷がバシィってなるとポップになります。

そんな表現はしないでしょうが、構造的にはそうなります。

魔法を使うのに制約があると話が変わるんですが、今のところ、無制限なので、そう感じます。

魔法じゃなくても重火器でもそうなんですけど。


ハリー●ッターで最初ポッターは家族からいじめられてます。

この時のポッターがひ弱な子どもだからです。

この時ポッターが全盛期ヒョードルみたいだったらまずいじめられない。


実際、二年生になって魔法を覚えて帰って来ると立場が変わる。

いじめられない。むしろ怖がられる。

それはそれで次の問題になるわけですが、とりあえず最初期の不安定さからは脱出します。

少年漫画でインフレが起こるのはこれですね。

武力が通じるとピンチにならないので今の力が通じない敵が出てくる。


仮想敵が使う呪術っぽいのは雰囲気あるんですが。

これは得体が知れないからです。

敵が広範囲殲滅魔法の使い手で、村一つにマダ●テぶっぱしてくるだったら雰囲気の欠片もないですし、手の打ちようもないです。


強い仲間と魔法の登場。

敵と味方のパワーバランスってものすごく難しいと思います。


主人公の語彙について。

この作品は一人称語りです。

三人称のほうがと思うんですが、情報の制約を掛けたかったんだと思います。


なぜ三人称にと思うかと言うと、主人公の語彙力がものすごく気になるからです。

制服の話があったので高校生かそこらだと思うんですが、右も左も分からず、片足失って、人に襲われてって状況で国語辞典みたいな語彙が出てくる主人公、ちょっと普通じゃないです。

本が好きという話はありましたけど。


何が気になるかというと、やっぱりリアリティです。緊張感ってリアリティに紐づくと思います。


この語り口だと、大人に見えます。

口調が軽いと、それはそれで緊張感ないんですけど。


この辺りも構成と表現の難しさかな、と思います。


後、1話は重いんです。文体。

それで、2話目以降少しずつ軽くなる。

読みやすいって印象が出ます。

それが途中でまたゴンと重くなる。

この濃淡も気になりました。

同じ語り手ですしね。


静の表現と動の表現で、粘度が変わるのかな?と思うんですが、ストーリーに没頭していると、うっ?ってなりました。


最後です。

1話目で迷子になるって話を。

近況ノートで離脱率気にされてました。

話の書き出しが重いので、あっ!って辞める方は多いと思いますが、それもですけど、「設問がない」って思いました。

それは今でもない。


簡単に言えば、なんで主人公は進んでるの?っていう話ですかね?


クイズです!ジャージャン!……

………

…………

いや?問題は?みたいな感覚です。


謎はあるんですが、その謎にこういうアプローチをする話よ、っていう指針がない。


例えば、はい行くぞ!って言われたら、どこへ?って返しますよね。

無理やり連れて行ったら誘拐です。


謎は謎でいいんですが、話を動かす動機が読めませんでした。

ゴールもコースも決まってないマラソン大会みたいな。

リタイアしやすいと思います。



さて、重箱の隅をつつくような指摘をしたんですが、全体としては面白いです。

意外というと失礼ですが、読んでると楽しい気分になる。


これは、作者さんが、書きたい!とか、面白いぞ!みたいなポジティブなテンションで書いてるのが伝わるからだと思います。


あと、作者さんが真剣なので、読み手も真剣になる。

作者と読者のヒリヒリするようなせめぎあいもまた楽しい作品ではないでしょうか?


どう伏線が回収されるのか、どれが伏線なのか、ストーリーの展開も気になる所です。


ぜひ一度、御一読を。


改めまして、馬場さん、ありがとうございました。


https://kakuyomu.jp/works/16817330661669587425

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