2091_4_まばたきもせずみんなをみてる
あんまり表情が変わらない5番だけど、リトルスターの映像を見ているときはごきげんだ。
リトルスターは地下の街で活動しているアイドルで、地上にいる私達は本物を見たことはない。
5番はリトルスターの映像データを自分の体内メモリに埋め込んでいる。燃えて無くなったりしないし、いつも一緒の気持ちでいられるから良い、というのは5番の弁だ。
映像を見ていた5番がぼやく。
「もっと解像度高いのが貰えたらいいのに…」
今のデータでは拡大に限界があるらしい。
「どれくらい?」
気になったので5番に聞いてみる。
「壁一面…いや、空覆うくらい」
「そこまでいくとビッグスターになっちゃうよ」
「ある意味すでにビッグスターではある」
……真顔だ。5番はリトルスターに完全に夢中だ。
少し前に、反応が見てみたくてリトルスターのマネをしてみたことがあった。ポーズを決めた私を見て、一瞬にしていつもの真顔に戻った。そのあと「そうじゃない」とポーズや動きを教え込まれて、めちゃくちゃしごかれた。今思い出すだけでも疲れる。私はそれ以来リトルスターのものまねはしないと固く誓った。
映像を見ていて、ふと思ったことを口にしてみる。
「リトルスターって瞬きしないね?」
5番が即答した。
「プロだから」
プロのアイドルは瞬きをしないのか。初めて知った。
「それにな、4番…」
5番の話が続く。ああ、間違いない。これは終わらないやつだ。
この後もしばらく私は何度目かの、5番の熱い語りを聞くことになったのだった。
2091_4_まばたきもせずみんなをみてる
-四六時中見守るさま。監視。little star is watching you.
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