生きていくなら楽しいことは必要だ。でもここには何もない。しかたがないので私は気分を紛らわすために適当に歌ってみる。

「今日のごはんもたーぶんーぺらぺらでー」

横で聞いていた2番が言った。

「今の歌はなんていう歌なんですか？」

「ごはんのうた。作詞作曲、私」

2番が少し苦笑いをしている気がする。気にしない。

「なにがーあるかはおたのしみー」

気にせず歌う私に、2番は悲しい現実を告げた。

「……実は今日晩ごはんないんです」

「なにもーなくてもおたのしみー」

私は歌詞を変える。それを聞いた2番が複雑そうな顔をしつつ私に聞いてきた。

「無くても楽しみなんですか……？」

「みんなと過ごす時間が大事なのさ〜」

私は精一杯見栄を張ったのだった。

2091_2_ごはんのうた

-即興歌の題。あるときはある、ないものはない。

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