第8話〰太陽光も紫外線も通す、決まりは通さない〰

早くも12月にもなり、ネットで冬物のトップスとボトムスをおすすめ順にそれぞれ4着ずつ購入した。うちトップス2着は胸がキツい、ヤスリみたいにゴワゴワしすぎている、ボトムスも2着お尻がキツい、逆にブカブカしているという理由で残念な出費に。実質手元にはタートルネック?のニット2着と裏起毛の伸縮性抜群なパンツ2着が仲間入りした。

あ、キャミソール?ってのもこの前4着買った。こちらは無敗。嬉しい。

この洋服ガチャ、何とかならないのか……。

とりあえず肌触りが悪かったヤスリだけ☆1の評価をつけておいた。



サイズ合わなかったら返品すればいいじゃん、とお思いの方もいるだろう。事実、俺も返品はしようとした。お金は大事だからね。


返品受付はクリック1つで依頼することができ、ダンボールに詰めて準備完了。あとは集配してくれる日を待っていればOK。普通の人達にとっては超便利で簡単な神機能。


……。そう、集配が俺にはクリアできなかった。

非対面では集配を受け付けてくれないのだ。

玄関先にボンとダンボールだけ置いていたら、運送業者のお兄さんがドアチャイムを鳴らしてきた。

運送業者「すいません、集配で伺いましたー」

渚「あ、はーい!ありがとうございます!」

ここまでは良かったのだが…

運送業者「このお荷物ですか?すいません、対面でのお渡しでないとお受けできないんですよー」

渚「えっ!?」

運送業者「依頼票はこちらで用意してまして、あとはこちらのお荷物に貼ってお客様の控えをお渡しさせて貰えれば集配完了です!」

……ヤバい!!!!

渚「あ、あのー…ちょっと事情があって今対面できないので、どうか勝手に貼って持ってってくださいませんかねー…」

運送業者「うーん、ちょっと規則上難しいですねー」

渚「あっはい、わかりました……。ちょっと気が変わったので、すいませんが集配キャンセルで……申し訳ない…です……。」

運送業者「???…わかりました、では失礼します。」


こうして俺は返品することを諦めた。

どうしてこうも透明人間に厳しい世の中なんだ。


あとは、女性としても大変なことが。

ダンボールつながりで、500mlペットの24本入りの飲料を置き配で注文しているのだが、これが尋常じゃないくらい重い。

入院患者さんよりはずっと軽いはずなのに、地面に磁力で付いてるかと思うぐらいの重さ。

「ん゙ー、重いいぃぃぃ…」

引きずって何とか玄関まで運んだものの、そこで力尽きた。靴を脱ぐ場所の段差が微妙に越えられない。

今はもう外の玄関先でダンボールを開けてしまい、ペットボトルを2個ずつ台所の棚に移す手法を使っている。浮かんだ服を見られたら終わりなので、仕方なく全裸で。クソ寒い。



生理もとにかくキツい。男の時は月単位で気にすることなんて散髪ぐらいだったが、女性の場合体調の良い日が明らかに少ないことに気づいた。月の2週間くらいは常につらい感じ。

月経痛の他に頭痛、イライラ感、胸とお腹の張り…。PMS(生理前の様々な症状の総称)、これらみんな、御局様たちも含めて女性は付き合ってるんだな。女性の方々にはもう頭が上がらない。


ナプキンも必須だ。透明で見えないものの、一番最初の時はショーツからベッドシートまでカピカピの鉄臭い状態に汚してしまった。



イブプロフェン(鎮痛剤の成分)にも足を向けて寝られません。本当頼りにしてます。




世界の理、なんて大層な表現をする程でもないのだろうが、本当に世の中生きづらくできているようにしか感じられない。



「なんで、透明な女なんだ……」

せめて透明人間だけ、女性化だけにしてくれ…。

いや、そもそもどっちも現実ではありえないって。ほんと意味わからんて。





受難だらけの世の中、俺にある光明が差す。

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