捕われたホワイト

 スノーホワイトは手枷で腕を拘束され、身体を椅子に縛りつけられた状態で目を覚ました。

 「……ここは?」

 「俺たちのアジトだ」

 目の前に男が立っていた。

 「俺はワト。お目にかかれて光栄だぜホワイトさんよ」

 ワトの手にはスノーホワイトのM29があり、銃口がホワイトに向けられていた。

 「本当はリョウタの力で王都を襲うはずだったんだけど、ラクタがあんたをアジトに連れて行けと言ったんでね。あんたには俺の拘束魔法が効かなかったから手枷とロープをつけさせてもらった」

 「リョウタはどこだ」

 「俺たちパーティーのリーダー、ラクタはあいつがお気に入りでね。ほかの仲間と王都襲撃のプランをおさらい中さ。なあ、折角だから俺と少し話そうぜ」

 「断る」

 ホワイトは口を噤んだ。

 「いいよ、勝手に喋るから。俺、ゲームで初心者をいたぶるのが大好きでさ。いわゆる俺TUEEEってやつだ。ラクタにつけば、この世界でそれができると思ってね。俺はチートで強くて、異世界人は雑魚。それって最高だと思わないか?」

 「今の言葉は訂正する。お前に返答してやる。僕は俺TUEEEもチートも大嫌いだ。あれは情けないやつが好むものだ。情けないやつがイキりまくる姿なんか、見てるだけで反吐が出る」

 「黙れ!」

 ワトがホワイトの頬を殴る。ホワイトは口から血を出した。

 「存在がチートみたいなやつに何がわかる!」

 「僕の力はチートなんかじゃない」

 ワトはホワイトの頭を掴み、顔を近づけた。

 「ラクタが生かしておけなんて言わなきゃ、お前なんかすぐにでも殺してやる!」

 「じゃあ僕はお前のそのいやらしい目を、僕の氷で突き刺してやる」

 興奮するワトの物言いとは対照的に、ホワイトの声は冷淡だった。

 「拘束されてるのにどうやって?」

 「いや、もう外した。氷の鍵で」

 ホワイトは解錠された手錠を、見せびらかすようにワトの前に出した。身体を縛りつけていたロープも切れていた。

 「えぇ……」

 ホワイトは動揺して動きが固まったワトの首を鷲掴みにし、空いている右手の人差し指と中指を氷柱に変え、ワトの両目を突き刺した。

 息絶えたワトを放り捨て、ホワイトはM29を取り返した。

 「この銃は漢の銃だ。お前のようなろくでなしが持っていい物ではない」

 ホワイトは近くのテーブルに置かれていたベレッタとウィンチェスター、マガジンベルトを手に取り、部屋を出た。

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