襲われた村

 リョウタが森から姿を消した同時刻、ホワイトは王都でいちばん魔法具に詳しい、ハリアー氏の家を訪れていた。

 「やはりこれは豪火の杖ですな。私も現物を見るのは初めてですが」

 ハリアー氏はホワイトが持ち込んだ杖を調べて言った。

 「この杖は遥か昔に作られたものです。この杖の能力は──」

 「火球を作り出して焼き尽くす、ですか」

 ホワイトが続きを言った。

 「よくご存知ですな」

 「ええ、これに黒焦げにされかけたので」

 「この杖は強大過ぎる力のために、扱うのは危険と判断され、誰も知らない秘密の場所に封印されたのです。あなたが始末した来訪者は一体どこで、この杖の在り処を探し当てたのでしょう?」

 「それが、この杖を悪用していた来訪者は攻略本で見つけたとか言っていました」

 「攻略本?流石に私も知りませんな」

 「どうやらその攻略本には、この杖のように、強力な武器の在り処が書かれているらしいのです」

 「そんな書物が存在しているとは。ホワイト殿、これは今まで以上に苦しい戦いになるかもしれません」

 「はい。心得てます」

 「ホワイト樣!」

 ハリアー氏の執事が二人の許へ駆け込んできた。

 「これ、ホワイト殿に無礼ではないか。どうしたのだそんなに慌てて」

 「何かあったんですか」

 「貴方の住まいの近くのカリク村から火が上がっているそうです。早く村へ!」

 「何だって!?」

 「もしや来訪者の仕業かもしれませぬぞ、ホワイト殿」

 ホワイトは馬に跨り、急いで村へ向かった。

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