農協

 農協、最初に就農した時は、めちゃくちゃ腹が立ちました。

 15年ほど前はまだ旧態依然で、他の世界から見ると信じられないことが多すぎでした。


 頭の悪いじじいどもがなぜが威張ってる、農協法の第一条を読んでみろと怒鳴ってやりたくなったことも何度も。


 特にその頃は金融で稼げばという経営方針もあったらしく、生産者を馬鹿にしていたように思えます。


 既に、時代の流れのなかで、立ちいかなくなっていたことに気が付いていなかったようです。体力のないところから破綻していき、統廃合が進みました。


 その後、昔からの頭の悪い連中は去り、最近はずいぶんましになりました。

 その間、店頭や、会議で何度吼えたか。ずいぶん喧嘩もしました。


 詳しくは書きませんが、ふざけんじゃねーぞ、責任者を出せとやったことも結構あります。こちとら霞が関で他の省庁、現場ではもろもろの犯罪者とやりあってた人間です、負けはしません。


 この15年で新しい人がどんどん入り、ずいぶん体質も変わりました。

 でも、まだ不祥事は起こります。もっと改善しろといいたいところは多々ありますが……。


 そんな農協、生産者に対しては何をしてくれるのか。

 肥料や資材の手配、それもあります、でも高いから、我が家はほとんど利用していません。コ〇リ等のホームセンターで買った方が、いいものが安い、です。


 営農指導、そうですね、県や市の農政課と一緒になって、いろいろ言ってくれますが、生産者の方がわかっていること多々。

 私は話半分で聞いています、別に農協の言うとおりやらなくても出荷はできる。


 農協の仕事は、売り先を見つけることです。担当者は毎日一番作物を高く売れるところを探しています。


 余談ですが、前に、SNSでせっかく作った作物を買ってくれないと騒いでいた人がいます。

 そもそも農協は作物を買う組織ではありません、此処の生産者の作った作物を取りまとめて、高値を付けてくれる市場や、大規模小売業者等を探すのが仕事です。


 おかしなものを引き受けてしまうと、市場の信用を失い、他の生産者に迷惑をかけることになります。


 当然のことながら品質の責任がもてるものしか、農協では集荷しません。

 俺の作るもののどこが悪いという人は、直売所で売るか自分で売り先を見つけてください。


 どうも農業は別と思っている人も多いようですが、一般の商品の売り買いと何も変わりません。

 まあバッタものを売りつけるような仕事をなさっている方は、別かもしれませんが、

 世の中の常識に従ってもらいたいと思います。


 話を戻します。うちのような零細農家にとって、作物を買ってくれる相手を探し、発送し、集金するという作業は恐ろしく手間です。栽培や収穫だけで手一杯です。

 実際問題たかだか4反の畑でできる作物など、流通の世界ではカスです。まともな流通に個人で載せることなどできません。

 だからこその、農協なのです。


 ただ、最初に書いたように、生産者があって成り立つということを忘れると、やはり、喧嘩をしなければなりません。そこさえ、こちらが分かっていれば農協は便利な組織です。


 TPPに参加するかどうか、日本中が大騒ぎしていた時に真っ向から参加に反対していたのが農協です。

 その時、生産者が困ることになるという論調で、農協はぶち上げていました。

 ま、生産者とすれば、何言ってやがると思ってもいたのですが、結局アメリカが参加しなくて一安心。でもあの一件で少しは生産者の方を見た、ような気もします。


 まあ、外圧がないと何も変わらんというのは、この国の上から下までが抱える問題なのかもしれません。


 などと偉そうなことを書きました。

 結論、文句は言う、喧嘩はする、利用できることは利用する、それが農協との付き合い方だと思います。



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