第6話 ウンコ・ダンジョン(完)
「今日はお疲れ様。ゆっくりと宿で身体を休めてね」
「はい! 今日はありがとうございました!」
あたしは深々とお礼をする。
あのあと第10階層まで降りて魔物を倒してから地上に戻ってきた。倒したのはほとんどレナさんだったが。外はすでに夜になっていた。
それよりも大変だったのがやはりウンコだった。魔物の数が増えたせいでそこらじゅうがウンコまみれになっていて、おまけに魔物に殺された冒険者の死体から漂う異常な腐臭で危うく気を失いそうになったので、今日はここまでということで返ってきたのだった
「今回は私がパーティーを組んでサポートしたけど、2回目以降は別の人と組んでもらう必要があるの。宿に行けば仲間を探している人達がいるから当たってみて」
「レナさんは?」
「明日も新人が来るのよ。その人の案内をするつもり」
「そっかー……」
正直レナさんじゃないとダンジョンに入るのは厳しい気がする……ウンコウンコウンコ……
レナさんはいつもの優しい笑みを浮かべて手を振りながら、
「じゃあまたダンジョンの何処か出会いましょう」
「はーい!」
そうあたしも手を振って見守る。
あたしは空を見上げた。とってもキレイで雲ひとつなく、星々の川流れが美しい。
キレイな夜空を見上げながら考える。
明日もダンジョンに行けるだろうか。行ったらどうなるだろうか。
ウンコの匂いで鼻が曲がり、ウンコで滑って転んで、携帯式トイレに詰まったウンコを避けなが歩いて、腐臭で精神が壊れそうになりながら死体を片付けて、ウンコを仲間に見られて、私も仲間のウンコを見て…
すううううううう。はああああああああ。
大きく深呼吸して決意する。
冒険者は諦めて、田舎で畑を耕して生きよう…
魔物を倒して手に入れた数個の金塊とともに故郷へと足を向けた。
~終わり~
ウンコ・ダンジョン~ここはトイレがない~ きたひろ @kitahiroshin
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます