第5話 ウンコとの戦い
だめだ。もう諦めた。というか私のお尻は限界だよぉ……
あたしは覚悟を決めて携行式便所の上にまたがる。立ったままのレナさんは上から私のウンコスタイルを凝視してる。なんだこのプレイは……
「――――っ! 敵よ!」
「ええっ!」
こんなタイミングで!? どうするの! あたし、今少しずつ出てる状態で立てないよ!?
ダンジョンの奥の方から黒い球体のようなものが多数接近してきていた。ビリビリ電気を放っているのを見ると、触ると感電するタイプの魔物っぽい。
レナさんは魔法の杖をかざし、
「キサラさんはそのままウンコを続けてて、敵はすべて私が叩く!」
すごい熱血ムードでレナさんが叫ぶが三文字ワードのせいでギャグに聞こてしまう。いやいや、とにかく全部出してレナさんの足を引っ張らないようにしないと!
「ふぬぬぬぬぬぬぬ……」
踏ん張ってるし、結構出てるんだけど、お腹が壊しているのかなかなか止まらない。これはちょっと時間がかかるかもしれない。
「――――ハァ!ライトブレード!」
レナさんは手刀を構え、敵に向けて手を降ると光の刃が飛んでいき、敵を真っ二つにしてしまった。さすがは伝説の魔法使い。戦闘力の高さは本物だ。
あたしもなんとか頑張って踏ん張り続けて、出せるものはすべて出すことに成功した。あとはポケット紙でお尻を拭いて、携帯式トイレの蓋を閉じる――自分の出したウンコとオシッコを間近に見るのまじキツイ。
「レナさん! すいません! あたしも――」
「大丈夫よ、キサラさん。敵は全滅させたわ」
見れば黒い球体は全て消えていた。あたし、ウンコしてただけで終わっちゃったよぉ……
と、ここでレナさんが自分のバッグから携行型トイレを取り出して、
「敵がいなくなった今のうちに私も済ますわ。キサラさんはここで私を守ってて」
「えー、レナさんめっちゃ強いじゃないですかー。あたしなんかじゃ力不足ですよー」
あたしが文句を言うと、レナさんは首を振り、
「どんなに力を持っていてもウンコをしている時を狙われたら終わりよ。この態勢に加えて排泄の至福感。どうやっても隙だらけになるわ」
「至福感とか言わないでもらえます!?」
あたしは大きくため息を付いて、
「わかりましたから早く済ませてください」
「悪いわね」
レナさんは踏ん張り始める。もういや、帰りたい……
「キサラさん!」
突然レナさんの声がダンジョンに響く。見ればさっきの黒い球体が一つだけまた現れてこちらに襲いかかってきた!
「仕方ない。私が!」
「ちょっと待ってダメです! レナさんはそこでウンコを続けてください! そんな状態で戦って撒き散らす気ですか!?」
全力で立ち上がろうとするレナさんをお仕留めつつ、私は短剣を構えて、
「これでも近距離戦闘には自信があるんです。たった一体ぐらいやってやりますよ!」
「直(規制音)接の打撃(規制音)はダ(規制音)メよ(規制音)! 私(規制音)が指(規制音)示する(規制音)通りに(規制音)動いて!」
「了解です!}
途中途中に聞きたくないウンコの音が交じるがもう気にしてる場合か!
「直接切りつけると(規制音)(規制音)キサラさんが感電して大ダメージよ。(規制音)(規制音)(規制音)慎重に狙いを(規制音)済ませて、(規制音)短剣を投げて! その魔物は(規制音)(規制音)(規制音)(規制音)耐久力が全然ないから一度当てれば(規制音)(規制音)倒せるわ!(規制音)」
「ダーツ投げみたいな感じですね! ちょうど得意分野!」
あたしは精神を集中させる――そして、近寄る黒い球体めがけて投げつけた!
……………
黒い球体に見事命中し、魔物は散り散りになって崩壊していく。
その中に一つの小さな金塊があった。
「お疲れ様。これがあなたの初めての戦果よ」
「戦果……」
あたしは金塊を拾い、勝利の喜びの声を上げた。
「やったー!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます