第2話 綺麗な青年

新大阪から約2時間半。

東京駅着。

受験の時はただただ慌ただしくて景色になんて全く目を向けれなかったけど、ここは紛れもなく光波の故郷。でも今の光波にはアウェイな大都市。

今日から3年間お世話になります!

とりあえず到着した事をお父さんに報告し、スマホのナビを見ながらウロウロしていると、もの凄いオーラを放出しながキョロキョロしている青年が目に入った。

(うわ。芸能人?さすが東京)

長身に手足の長いスラッとしたスタイル

その上に付いてる小さな頭と顔

大きいのに涼しげな目元、スっとした高い

鼻、綺麗な形の唇。思わず見とれていると

視線に気が付いたのか、一瞬目が合ってしまった。

(やばっ!)

咄嗟に目を逸らし背向けた瞬間。

「坂口 光波さん?」

誰かが声をかけてきた。

振り返るとそこには、さっきの綺麗な青年がいた。

「、、、、、」

「違っていたらすみません」

その言葉に我に返ったあたしは

「あ、、、はい」とだけ答えるのに精一杯だった。

「朝比奈 流摩です。17時半到着予定って秀一さんが言ってたので迎えに来ました」

坂口 秀一。お父さんの事だ。

「あ、、、わざわざありがとうございます。

はじめまして、坂口 光波です」

そう言うと流摩はクスっと笑った。

「やっぱり光波だったか。俺の事覚えてない?」

「、、、、?」

「そっか、やっぱりわからないか」

綺麗な青年は、遠くを見ながら言った。

「さぁ、行こうか。羽咲も待ってる」

「はい」

人に溢れた春の東京。

懐かしさよりも新鮮な気持ちで、綺麗な青年の背中を追いかけた。

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