創造神エンキの加護

アムシャは、公爵領の森に来ていた。


精霊様の加護がない状態で魔法が行使できるのか心配だったので試したかった。


先ずは火の魔法、火球、火槍、火壁。火剣、火拳、火装。と試してみた。


水、風、土、光、闇、聖も同様にやってみた結果、基本属性は出来た。


次に、上級魔法だが精霊魔法以外は出来るようだった。



「アーシラトの力では無かったのか」少し安心した。


魔法しかない僕が魔法が行使できなかったらと考えるだけで恐ろしくなる。



「これって精霊様に見捨てられたんじゃなく認められたのかな」


楽観的な考えだけど無きにしも非ずだな。


後、試したいことがあったんだよね。精霊魔法の上に神聖魔法って有るんじゃないかと思って、神を降臨させてみようか。


僕は、アーシラトを精霊様を呼びだした時と同じ要領で神様を呼んでみた。


創造神“エンキ”


『ひとの子、我を呼び出したのは貴様か?』


「はい、精霊魔法の要領で召喚しました」


『ほう、まさか人の大地に召喚されるとはな。我より強力な魔力持ちということになるなぁ、神級魔法使いというところか』


「いえ、只のひとの子、8歳児です」


『して我に何用じゃ?』


「神聖魔法を試してみました。あと魔法について聞きたいことがあったので」


『なるほどのう、ならばこの魔法は神聖魔法では無いな召喚魔法の上位、降臨魔法じゃ。神聖魔法は聖魔法の上位じゃな』


「わかりました。有り難うございます」


『なかなかに見どころのある8歳児じゃのう、名をなんと申す』


「アムシャ・ジユニ・フラウミルヒです。この公爵領の公爵家次男になります」


『アムシャじゃな覚えた。して、聞きたいこととは何だ?この世界は我が作った。魔法でも何でも聞くがいい』


「はい、ありがとうございます。魔法属性のことについてお聞きしたいのですが…」



しばらく創造神様と会話を楽しんだ。いよいよ魔力が切れてきたため、ここらで潮時だなと思って、いろいろ勉強できたことに礼を言い別れ間際に創造神様から

『アムシャ、お前の成長が楽しみだ。ずっと見ておるぞ』

そう言って創造神“エンキ”は消えた。


「さすがに神との契約は出来ないか」予想通りだが残念。



そろそろ戻るか。と思ったらヴィシュヌ姉様が転移魔法で現れた。


「ビックリした!!急に出てこないでください。今から帰るところでした」


「やっぱりアムシャだったのね。大きな魔力が森に現れたから飛んできたのに」


ヴィシュヌ姉様は少々怒っていたがどこか楽しそうにしていた。


「姉さま、王都から帰ってたんですね。王都はどうでしたか?」


「王都はどうでもいいんだけど、さっきの魔力の説明をしてくださいな」


「チっ‼」


「なんか言いましたか?」


「いえ何でもないです」


「心配はいりません。お父様たちには言いませんから、あとアーシラトから聞いてますので隠し事は無しです」やっぱりか


「では絶対に口外無用でお願いします。さっきの魔力は神様を創造神“エンキ”様を降臨しました。降臨魔法というそうです」


「はぁ~~~⁉。神様降臨って人間技じゃ無いでしょう。あなたは何者なのよ?」


「8歳児って神様に説明しましたけど…。神級魔法使いとか言われましたね」

姉さまは頭を抱えて何かを考えている風だった。


「どうりでアーシラトがあなたから私に移って来たはずだわ。精霊様の力も超えてるじゃない。最近、ハルワタートも魔力量が増えてるし、あなた達双子は規格外すぎるわ」


「姉さま、さっきから言葉遣いが変わってますけど」


「あなたと話してたら私の努力なんて馬鹿らしくなるわ。猫かぶるのもあなたの前だとやめる」


「…姉さま」


(姉さまが僕の前だとありのままでいてくれる。すごくうれしい申し出だぁ)



空想の世界で甘い気持ちを楽しんでいたのだけど突然、空に竜が見えた。


「竜も魔力を察知したみたいね。アムシャどうする?戦う?」


「姉様魔力ありますか?僕は降臨魔法で空っぽです」


「私も、戦うのは無理ね。帰りの空間移動分あるかどうかってところ」


「まずいですね。このままやり過ごせればいいんですけど」


いよいよ竜が上空に来るかどうかってところで、雷が竜を貫通した。


「姉様?」


「いやいや、違うけど」


「じゃあ誰が?」


「雷魔法使いってうちの領内にいたかしら」口々にそんなことを言っていたが


「姉さん、とにかく助かったね」



「ヤッホウ~!兄様、姉様。大丈夫ですか?」ハルワタートが現れた。


「規格外がもう1人いたわ。何、今の雷魔法、飛竜を一撃ってどんなレベルよ」


「兄様ぁ、姉様がいつもと違います」


「そこは気にしなくていいよ。ハル、有り難う助かったよ」


「いえいえ、どういたしまして。大きな魔力が現れたので兄様だってわかりました。

きっと魔力切れだろうなって思って迎えの来たんです。そしたら飛竜が見えたので“雷一閃”って魔法で落としました」


「さすがハルだねどんな修行をしたんだい?」


「内緒です。飛竜、回収します」


「って空間魔法じゃない。もう、規格外すぎるでしょ」


「姉様も規格外でしょ。結局、僕ら兄弟だからね」


「一緒にしないで」


帰りはハルワタートの空間転移魔法で一瞬で帰ってきた。






「姉様、王都ではどんな話になりましたか?王国初の2精霊魔法使いの扱いはどんな感じで、まとまりそうですか?」


「さっきの魔法の話聞いた後だと私の扱いなんてちっぽけな事のように思うわ」


「姉様、話し方戻したほうがいいですよ。誰が聞いているかわかりませんよ」


「そうね…、おそらくですが、私とお兄様は魔法学園の特待生あたりで落ち着くかと思います」


「なるほど、打倒ですね。魔法学園に押し込んで国の管理下に置くって事ですね」


「王子の婚約者という話も出てたみたいですが」


「公爵令嬢は、容姿端麗、文武両道ってのが世間の見解ですから、それもありですね。姉様なら王子の婚約者も務まると思いますよ。今でも引く手あまたでしょ」


「姉さんが王子と婚姻すればアムシャはどうしますか?」


「僕ですか?う~ん、いずれ近衛騎士団か王剣魔法団あたりに入れられそうですが。まっ、たらればの話ですし何とも言えませんけど、どうなっても僕は必ず全力で姉様を守ります。大切な人ですから‼」



はっきりと言い切ったせいか、姉様が耳まで真っ赤にして俯いていた。


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