ハルワタートの精霊さま
兄様の精魂式は無事終わりお母様の予想通り兄は火の神に好かれていた。
基本属性の火、風。上位属性の精霊魔法の3属性、
契約精霊は戦の精霊“スカンダ”と言った。
流石だとお父様もお母様も大喜びだった。
さて、それよりも大変だったのは僕の魔法のこと契約精霊は何?
ってことでお母様から散々質問されたがハルワタートの見間違いだって
白を切った。ハルには申し訳ないが10歳になってない僕が強力な精霊を
使役するのはこの世界ではありえない事のようなので。
身体強化の魔法も精霊魔法も何とか無かったことにしてこの場を収めた。
ハルワタートは悔しそうだったが姉はなぜか嬉しそうだった。
後で、ハルには僕の精霊を見せてあげよう。許せハル。
実は、姉さまの精霊もハルの精霊も僕は知ってたりする。
ヴィシュヌ姉さまの精霊は英知の精霊“サラスヴァティ”
ハルワタートの精霊は星の精霊“ティシュトリヤ”
お兄様のスカンダもそうだが三人とも強力な上級精霊に守られている。
いずれ公爵家の子供たちは全員、上位属性の精霊魔法使いということになる。
それだけでも公爵家は安泰なのだが逆に強力すぎる力となるだろう。
王家がどう思うだろう。
3年後、僕とハルが10歳になった時が1つの区切りだろう。
その日、ハルワタートは双子の兄アムシャに文句を言う為にアムシャの部屋にいた。
「兄様、どうして兄様の魔法を隠さなくちゃいけないんですか?
あんなに綺麗な精霊様をお母様もお父様も見たいはずです」
「ハルごめんね。物事には順序ってものがあって今の僕が魔法を使えることは不自然
なんだ解るね。その代わりハルの精霊様に逢わせてあげる」
「本当に、私も魔法が使えるの?兄様の精霊様のように綺麗な精霊様に逢えるの?」
「うん逢わせてあげる。その代わり僕の魔法のことは黙っててね」
そう言って僕は全能の精霊のアーシラトを呼び出しその力でハルワタートの契約精霊になる星の精霊ティシュトリヤを呼び出した。
ティシュトリヤもアーシラトに負けず劣らず綺麗な精霊で特徴は目の中が小さな宇宙の様だった。
幻想的な2人の精霊様の前でハルワタートは何も言えずに唯々、感動していた。
さっきまでのハルらしくない態度にアムシャは不思議に思い訊ねることにした。
「どうしたんだいハル?君が会いたがっていた精霊様だよ」
固まっていたハルワタートも我を取り戻したようだったが今度は泣き出した。
喜怒哀楽の激しい妹にアムシャはなんて言えばいいのか考えたけどいい方法も見つか
らず無言のまま時が過ぎた。
ハルワタートは突然なにか思いついたように目をカッと開いて
「私も兄様のように精霊様と契約する」と言い出した。
アムシャは驚いたがハルワタートに精霊様を見せた時点である程度予想できた事なのでアーシラトとティシュトリヤに確認するとハルワタートの魔力量も僕ほどではない
が問題なくティシュトリヤと契約できるという事だった。
どのみち契約する精霊様だし、星の精霊ティシュトリヤは精霊の能力的にも上位精霊なので問題なく、ハルワタートの護衛にもなるので兄的にも問題ないので契約の儀式を全能の精霊アーシラトの名のもとに行う。
ハルワタート・ジユニ・フラウミルヒと星の精霊“ティシュトリヤ”の精霊魔法契約を交わし正式にハルワタートの契約精霊とした。
ハルワタートはお母様とお父様に契約精霊を見せると言い出したが、それだけは辞めてくれと宥めた。
星の精霊ティシュトリヤはどんな生き物にでも変身できるという能力があるので小さな黒猫に変身した。
「ティシュトリヤが顕現しているうちはハルの魔力を使うからね。小さな猫だと消費魔力は少ないだろうけど、他の大きな生物とか魔力量の多い人間とかだと魔力消費が多いから気を付けるんだよ。ティシュトリヤの変身魔法はそのものすべてをまねるから変身させる時は気を付けないといけないよ」
「うん解った。ティシュトリヤは兄様にも変身できる?」
黒猫は頷いてそのままアムシャに変身したがすぐに元の黒猫に戻った。
「兄様、魔力の消費が凄いです……。どれだけ魔力量があるんですか……?」
肩で息をしながらハルが聞いてきた。
「えっと…………、小さい時から鍛えてたからね」とほほをかきながら誤魔化した。
「僕の予想だがティシュトリヤが顕現してる間はハルの魔力を使うわけだから、ハルも魔力総量を増やす訓練になると思うよ。魔力総量が増えればティシュトリヤもいろんな事ができるようになるからね、無理をしない程度に頑張ればいいと思う」
その日からハルワタートが屋敷の中でも外でも小さな黒猫を連れて歩いている姿を、よく目にするようになった。
ハルワタート自身も最初は短い間だけティシュトリヤを顕現させていたが2、3か月を過ぎる頃には、1日中顕現させていても気にならなくなり、半年くらいでティシュトリヤがアムシャに変身しても平気になっていた。
内緒だが、アムシャに変身したティシュトリヤに魔法を習ったりして、8歳になった頃には、ハルワタートも無詠唱でほぼ全魔法を行使できる様になっていた。
変身した兄様のスペックの高さに驚きつつ自分もそのくらいまで成長していることがすごく嬉しかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます