双子転生

フラウミルヒ公爵家のアムシャさん

白い部屋ではない。


女神もいない。


特別な力も無いようだ。




ただ眩しい光に包まれて、新しい朝が来た。


「おおっ!やっと生まれたか。男と女の双子とは・・・頑張ったなぁ・・・ありがとう」うまれた・・・?、ふたご・・?、ここはどこ?


何を言っているんだろう。眩しくて何も見えない。


誰かに抱きかかえられ「お前の名前はアムシャ・ジユニ・フラウミルヒ」

アムシャ・ジユニ・フラウミルヒ?……俺のことか。


「我がフラウミルヒ公爵家の次男だ‼」


「そして、この子はハルワタート・ジユニ・フラウミルヒ、公爵家の次女‼」


ゆっくりと視界がハッキリとしてきた。


僕を抱いていたのは金髪、碧眼の20代後半のおっさんで……妹?を抱いてるのは空色の髪のすごくきれいな女の人でした。


「アムシャとハルワタートですね。かわいい名前」


恐る恐るのぞき込んできたのは2歳くらいの女の子その後ろに3歳くらいの男の子

おそらく姉と兄だろう、二人共恐ろしく綺麗な顔をしている。


こうして僕はこの世界に公爵家の次男として転生したようです。


妹はひょっとしてあの子かなと考えながら眠りにつくのだった。





目が覚めて思った前世の記憶がある、話せないけど理解はできる。


寝て食べて泣くだけの赤ちゃんにできることを考えた。


何もしないはない。

周りを見て思った。

この世界には魔法がある。

ならば、やることは1つだ魔力を鍛える。


先ずは気を練るつもりで、両手の指を胸の前で組む


なんかほんのりと温かい感覚が多分これが魔力だろう、けっしてう〇こではない

適当にそんなことをしながら起きているうちは時間をつぶす。


そう今からすることを考えて横を見ると可愛い双子の妹が寝てる。

‟この子を守ってあげないと”使命感に燃えながら眠りにつくのだった。





こんな日々が続き屋敷内を自由に探索できるようになった僕は現在3歳


生まれた時から始めた魔力強化?のつもりの効果もあってみるみる魔力が増えているような気がする。


毎日、書庫に入り浸り本を読み漁る日々を過ごしていた。


なぜこの年で文字がわかるのか?転生チートってやつだろう。


はじめは大人たちも小さな僕が本に興味を持つことに温かい目で見ていたが

毎日となると流石に心配になったのか誰かが傍にいるようになった。


主に見る本は魔法の本だった。


ある日、精霊魔法の本を見ていた時、何もできない小さな子供でも精霊様が居れば魔法が使えるのかなと考えて心の中で精霊様を呼んでみた。


僕の声に答えたのか、すごく綺麗な精霊様(透明)が出てきて僕の手のひらに触れた瞬間、体の中の魔力がざわざわしてきて精霊様が顕現した。


今、大人たちは誰もいなくて傍には妹のハルワタートがいたのだけど、丁度寝ていた。


‟全能の精霊”アーシラトと名乗った精霊様は僕の魔力総量に驚いた。

今まで魔力強化の修行(の)が正しかったことが分かった。

頭の中でいくつか会話を交わした後、僕の魔法の手伝いをしてくれると言ってきた。



‟全能の精霊”アーシラトは、全能というだけあって何でもできた。


毎日、様々な魔法を教わり吸収していくことが楽しくて仕方がなかった。



精霊様に魔法を教えてもらいながら幼児期を過ごした僕は妹と共に成長し現在5歳


本で知識を吸収し、公爵家の双子は天才といわれるようになった。


妹はというと本当の天才なのか特に努力をしてる様には見えなかったが僕と同じくらい頭が良かった。


そして、ある程度体を動かすことができるようになったのでお父様から剣を練習するように言われた。


「将来、お前は独立するためにいろいろ学ばねばならならない、公爵家の男として恥ずかしくない程度にはな」


「わかってます。家族を守れるくらいには頑張ります」


特に、可愛い妹を守るんだと心の中で誓った。




それからは、剣とこっそり魔法を練習し剣でも大人相手にできるくらいまで成長した。


7歳の僕は公爵家の副騎士隊長の相手に試合をするくらいには成長していた。


「オズワルド、本気でかかってきてください」


「いいんですか坊ちゃん。本気で行きますよ」


そう叫んだオズワルド副騎士隊長は魔法を詠唱し体に青白い光を纏った。


「副隊長、坊ちゃん相手に身体強化って大人げないですよ」


「これも練習だ。行きますよ」と言って真正面から突進してきた。


これはやばいなと思った瞬間跳躍して相手を回避、

後方に回り込んでオズワルド副騎士隊長を蹴り飛ばしていた。


あまりの早業で見ていた隊員たちも何が起こったか解らなかった。


身体強化した大人に勝ってしまったが実は僕も身体強化していた。


まっ一瞬だったので気づいたのは蹴られたオズワルドぐらいだろうけど

奇跡的に勝てたって事にして今日の練習を終わった。



「今のは身体強化か?詠唱もなかったように見えたが」


「そうね一瞬、アムシャの足が光ったように見えたわ。強化というより超化ね」


屋敷の窓から兄のブラフマーと姉のヴィシュヌが見ていた。


「面白いものが見れたわね。弟の成長が楽しみだわ」


「無詠唱であの魔法。剣の腕も良いし、一度手合わせ願いたいな」


二人は本当に楽しそうにその場を後にした。



その日の夕食のとき、僕たち4人の子供の前でお父様が言った。


「さて、ブラフマーお前ももうすぐ10歳だ。教会で精魂式をしなければならない

貴族である以上、必須だ」


「はいお父様、心得ております」


「精魂式というのは10歳の誕生日に教会で身を清め、精神に新しく魔法魂を刻んでもらうことをいうのよ、その時、魔法適正も解るの。あなたたち3人もいずれ精魂式をすることになるわ」


不思議そうにしていた僕と妹にフシャエータ母様が説明してくれた。


この世界の魔法は基本、火、水、風、土、光、闇、聖の7属性、

あと上位属性として氷、雷、精霊、暗黒、時空の5属性がある。


現在確認されているのは12属性ということになっている。


僕は、基本の7属性と上位属性の5属性は使えることを確認した。


上位属性の精霊魔法の使役精霊は‟全能の精霊”アーシラトという。


多分、僕は‟全能の精霊”アーシラトのおかげで全属性が使えるのだと思う。


無詠唱も‟全能の精霊”アーシラトのおかげかもと最近は思い始めてる。


‟全能の精霊”アーシラトは僕の『魔法の師匠で魔法の鍵』だと考えている。





いよいよ、兄の10歳の誕生日、教会での精魂式の日。


僕たち兄弟の父、フラウミルヒ公爵ことジャブダル・ジユニ・フラウミルヒと

母のフシャエータ、僕達兄弟は公爵領の大教会に来ていた。


公爵家の子息の精魂式という事で、王都から大神官様が来てくれていた。


精魂の間で僕たちは大神官アペイロン様の登場を待っていた。


兄様とお父様は精魂式の為、少し離れた神座のほうに行っていた。




「兄様はどんな魔法に好かれているのかしら?」


妹のハルワタートは退屈してきて母様に兄の魔法について聞いた。


「兄様は火の神様に好かれているから火の魔法かしらね」


「んっ、……兄様ってアムシャ兄様だけど」


「今日はブラフマー兄様の精魂式だからアムシャは関係ないですよ」


「アムシャ兄様も魔法に好かれてますよ。この前も魔法使ってたもの」


「えっ……!!」ハルワタートの爆弾発言にお母様が固まった。



復活したお母様に「アムシャはどんな魔法を使ってたのかしらハルワタート」


笑顔だが目が笑ってない状態のお母様がハルに聞いた。


「私も見ましたよ。剣の練習の時に身体強化の魔法を使ってましたよ」


姉のヴィシュヌがそう言うとハルワタートは嬉しそうに


「私が見たのは綺麗な精霊様がお兄様とお話してたよ。見たこともないほど

綺麗な精霊様でした。また見たいです」


「精霊魔法ですか。アムシャはどんな精霊様と契約したの?ハルワタートが見えるくらい強力な精霊ってことよね。精霊様が顕現するくらい強力な魔力ってことよね」


姉の言った身体強化の魔法より上位属性の精霊魔法のほうに興味を持った。


お母様が僕に質問してきたが同時に大神官様が精魂の間に入ってきた。





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