第5話:雑談配信
鉄は熱いうちに打てというが、仕事でトタバタ数日経過し、なんとか定時上がりした週半ば、ダンジョン配信は時間的に厳しいので雑談配信を行うことにした。
「酔っ払い配信者のかずやんでーす。今日は雑談配信したいと思います!」
ダンジョンだと流石に酔いすぎたらと思ってビールにしているが、自宅ではもっぱらストロングチューハイ派だ。
普段、開始早々数人視聴者がいればいいぐらいだが、この日は違った。
開始早々数百人が参加し、10分もしない間に1000人以上が視聴してくれている。
<姫を助けてくれて感謝:10,000円>
<姫をありがとうー少ないけど:500円>
<姫をありがとうー少ないけど:500円>
<ありがとー!>
<めっちゃすごかった>
<ミノタウロスおいしそうだった!>
<彼女いるんですかー?>
<姫とのその後は?:50,000円>
コメントがどんどん流れる色とりどりのスーパーチャットの嵐と共に感謝の声。
「開始早々スパチャ!?えっ5万も!?みなし残業と同額…ありがとうございましゅ!」
<噛んでるしw>
<みなし残業と同額ww20時間5万とか?>
<かずやんスパチャで噛むw>
「えーと、姫さんとは最後にダンジョンでご飯食べて解散したきりなので特に進展はなかったですよー。みなし残業は…100時間で5万です。」
<涙吹けよ:1,000円>
<まっくろくろすけw>
<俺の時給換算より低いしブラックすぎるだろ…>
<こういう会社って限界まで社員を働かせようとするよね…>
<労基仕事しろ:1,059円>
労働基準法だと40時間までですもんね。
最低時給の半分以下だしまっくろで泣けてくる。
<そういや、かずやんって探索者のランクってどれぐらいなん?:3,000円>
<それ気になる!:500円>
<Bランクのサイクロプスを瞬殺だもんな。A、いやS級とか?>
「えーと…Eランク探索者です。」
<…>
<…>
<…>
<は?>
<嘘松>
<ダウト!>
<Eランク探索者がDランクダンジョン探索とか無謀すぎ>
「荒れないでください。ほらこれ探索者証です。」
俺の名前が配信されてしまっているが、顔出し配信してるしまあいいか。
<マジやん>
<なんでだよw>
<おかしすぎ>
「これはですね…話すと長くなるんですが…」
Cランクダンジョンのフロアボスを討伐して品をギルドで換金しようとしたら、「Eランク探索者にCランクダンジョンのフロアボスをソロ討伐なんてできるはずがない!」とギルド職員にめっちゃ睨まれて、警備員に取り押さえられそうになって逃げだして依頼、ギルドに行けなくなったことを話した。
<涙吹けよ:1,000円>
<それはそうなりそう。EランクがCランクダンジョンは背伸びするってレベルじゃないしな:500円>
<前回の配信見たら嘘じゃないことは伝わると思うけどな>
<まあダンジョン配信してさ、ギルドに送り付けようぜ!そうしたらきっと評価される>
<ってことは、ダンジョンのドロップ品ってどうしてんの?ギルド通さずの売買って違法だろ?>
「ドロップ品は基本ダンジョン内で破壊してますね。放置してたら他のモンスターに使われるかもしれないんで…売れないし仕方がないですよ」
<まじかよ!もったいない>
<ミノタウロスの武器ドロップあれば、数万の価値あるんだろ?>
<サイクロプスを簡単に倒せる実力がある探索者のドロップ品、ギルドとしても損失パネェかも>
「スパチャありがとうございます。過去配信でもいいんで、配信見てもらえると嬉しいですね。」
<ギルドにぶん投げて置いた:5,000円>
<GJ>
<俺も!俺も!>
「みんなありがとうございます。告知になりますが、ツイッター始めました!次の配信案内はこちらでするのでよければ登録してくださいね!」
パソコンでツイッターのアカウント画面を表示して登録を促した。
<おけ!登録した>
<姫:登録しました!:50,000円>
<ひ、姫!?本物!?>
<姫が赤スパ!>
<姫降臨!>
「えっ、姫さん!?先日はどうもですー。しかも赤スパまで、ありがとうございます」
<姫:命を救っていただいたのにこれぐらいしかできなくて…あの時はありがとうございました!>
<かずやん、酔っ払いだけどカッコイイよね>
<あれは惚れる>
<姫…もしかして…>
<絶許:666円>
「はいはい、それぐらいにしてください!詳細はあとでツイッターで後で告知しますが、次回はダンジョン配信を予定しているので皆さんよろしくお願いします!」
配信を開始して2時間ちょうどいいタイミングなので配信は終了した。
あの後、姫さんが拡散してくれたおかげもあって登録者数30万人突破。
一度の配信で得たスパチャはなんと35万円
次のダンジョン配信でもイケるなら探索者としてやっていけるかもしれない。
むしろギルドでドロップ品を買い取ってくれるようになればと思うものの、ギルドに行く勇気は…ない。
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