第4話:バスる
ダンジョン配信を終了し、フロアボスを倒した後に出てくるダンジョンポータルから地上に戻る。
「本日は、本当にありがとうございました!このお礼はまた後日必ずさせてください!」
姫路さんと連絡先を交換し、家は近所だというのでそのまま解散することになった。
~配信中の姫ちゃんねるのコメント~
<助けキタ――(゚∀゚)――!!>
<姫!助かる!>
<いや…あれ助けられるの?>
<そもそも探索者の恰好じゃないじゃん!>
<期待させるなよ!>
<姫;;>
<いやいや、ビール飲んでる>
<自殺志願者が中層まできたってこと?意味わからん>
<えっ>
<えっ>
<えっ>
<サイクロプス吹っ飛んだー!!!:500円>
<アルミ缶って凶器だったんだ…>
<一撃必殺!かっけー!酔っ払いだけど:1000円>
<サイクロプス相手にあの動きできる?>
<無理だろ…武器もスキルもないし、なんで倒せんの?>
~(省略)~
<ミノタウロスって食えるの?>
<たしかアメリカの肉って感じで食べ応えあるみたい>
<かずやんの説明…ごくり>
<めっちゃきょどってるww>
<あーでも、めっちゃ旨そう>
<ビールで乾杯!姫の飲みっぷりいいね!:500円>
<姫…もう戻れない顔してる>
<姫+油=エロい:500円>
コメントは普段の配信の何倍もの賑わいを見せていた。
地上まで送り届け、一人帰路についた。
女性と一緒に食事をするのは久々だったなと思いながら泥のように眠った。
翌日、電話の着信とともに目が覚める。
「おう!元気にしていたか和也」
「急にどうした亮。久々だな。飲みの誘いか?」
寝起きの耳に響くガハハ感のある声量の
休みが合えば飲みに行く間柄だが、ここ一年は時間が全く合わずに疎遠になっていた。
「飲みもいいな。だがそれよりもだ。昨日ダンジョン探索の配信してただろ?ツイッターでトレンド入りしてるぞ?」
「ツイッター?トレンド?」
耳にすることはあるが、イマイチ最近のツールに疎く、今の配信も亮に色々教えてもらってようやくできた俺。
「ああ、そういえば和也はそういうのやってなかったな。配信者としては致命的だぞ?」
ポリポリと頭をかく音が聞こえる。土方っぽい仕事をしてそうな雰囲気を漂わせつつ、仕事は税理士をしている。
IT土方の俺とは大違い。ちなみに体裁的にはIT土方のことは、システムエンジニアと呼ぶらしい。
急にえらく感じるから不思議。
ツイッターについて簡単に説明を受けたあと、ツイッターを見ると自分の名前がぽつりぽつりと目に入る。
「姫を助けたポンポン男は誰だ!」
「うわぁあああああー言うな!」
目についたツイッターのコメントをにやにやしながら読み上げる亮。
思い出し顔が熱くなる。
つい勢いでやっちまっただけなんだ。
「いい感じにバズったし、もしかしたら配信者としてやっていけるんじゃないか?」
「チャンネル登録者100人程度じゃ流石に…えっ?」
前日までチャンネル登録者数100人ぐらいのチャンネルが、一夜明けると10万人まで一気に増えていた。
「いい感じに儲かるようだったら確定申告は俺に依頼してくれよ!色々サポートしてやっから」
あらためて自分がバズったことを理解した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます