第2話:酔っ払い配信者
「酔っ払い配信者のかずやんでーす!」
Eランク探索者の
週6出勤、残業時間は月100時間越えと中々香ばしい企業に勤める俺の週1の楽しみは
ダンジョンに潜り、ダンジョン飯をこれでもかと食べることだった。
『せっかくダンジョン探索してるんだったらついでに配信すれば?』
友人の一言から配信を初めて見るも視聴者は数人程度。
わかってる…酔っ払いながらダンジョンを攻略する配信に需要がないことを。
でも気しない。ダンジョンの絶品食材たちが俺を待っているのだから!
「今日の配信は…ミノタウロスのステーキをたらふく食べたいと思いまーす!」
近所の全5層しかないD級ダンジョンはほど良く運動しながら、サクッと飲むには丁度良いダンジョンだ。
半袖、短パン、サンダルのラフなスタイルに、調理器具を入れたリュックを背負い。
コンビニ袋に大量のビールを詰め込んでルンルン気分でダンジョンに突入した。
上層は通過点、中層2層に入ったところで遠くからゴンゴンっと何度も音がする。
「んー?」
耳の奥に響く不快な音に、上層探索しながらビールを4本あけ、すこしほろ酔いいい気分だった俺に水を差す。
音のなる方に向けて歩き出していると声が聞こえてきた。
「誰か…誰か…助けて!」
女性のただならぬ声が聞こえてきた。
「何かヤバそうなので、とりあえず声のする方に言ってみようと思います!」
声が聞こえたほうに全力で走り出した。
「大丈夫ですか!って全身ボロボロですよ?…って、うわっでっか!見てください皆さん。おっきいのがこっち来ましたよー!」
女性はすぐに見つかった…のだが、少し後ろからサイクロプスが棍棒を振り回しながら全力疾走で向かってきていた。
「とりあえず止まれ!」
手に持ったビールをグイっと一気に飲み干し、握りつぶした空き缶をサイクロプス目掛けてぶん投げる。
有効な一撃とは到底思えないアルミ玉、だが避ける暇を与えない速度でサイクロプスの目にぶつかるとダンジョン内に遅れて音が響き渡る。
グァアアアア!
痛みと衝撃で大きくのけぞるサイクロプス。
そこに人の影が差す。
「邪魔!」
振り下ろしたこぶしがサイクロプスの目を捉え、そのまま地面に叩きつけた。
ドゴォオオオン!!!!
ダンジョンが大きく揺れる。
彼女は何が起こったのか理解できないという表情をして固まってしまった。
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