第37話 もふりたかった

 さて、次へとやってきたわけですが、ヘビではないものはいましたね。はい。

 というかなんでこんなところにいるんですかねー

 とりあえず口調を戻すか。少し驚いたから口調がおかしくなるところだった。もうすでになっていたかもしれないな。

 いや、雪の中で転がりまくるタヌキがいたら驚くだろう。こんなところにタヌキって出るんだなあ。


 ヘビの次がこれって……可愛いけれど大変なのは変わらない。だってまた何匹もいるんだもの。もふもふしたいのになあ。

 こればかりは仕方ないか。もふもふしたくてもできない。させてくれないだろうし。


「セリ、触りにはいくんじゃねえぞ?」


ヴォルフに言われた。

 そわそわしているのを見抜かれていたようだ。


「い、いかないよ?」


私は動揺しながらも返事をした。

 本当は触りたいけれど、ぐっと我慢をする。

 そんな会話をしているとライオスがこちらを見ていた。

 私はそれを見て


「何かな?」と言う。

 

 するとライオスが


「そんな呑気にしていていいのかと思ってな」


と呆れた顔をして言った。

 気を抜いていたら危険だという忠告だ。

 言い方にトゲがあるような気はしたけれど、心配からなら私は気にしない。


「攻撃してこないようですし、大丈夫だと思いますわ」


ニコがそう言って微笑んだ。

 確かにタヌキは攻撃しようとしてこない。

 それならばあまり警戒しておく必要もないわけで……まあ、それで攻撃されると困るし警戒しておくに越したことはないけれど。


「そうかもしれないが、触るのはいけないだろう」


ライオスは言った。

 私が触りたそうにしていたからな。先程ヴォルフにも注意されたばかりだというのに、まだソワソワしていたのだろうか。

 可愛いし、あの毛を一度触ってみたいという私の気持ちが前面に出てきてしまっていたかもしれない。私は嘘がつけないのですぐに表情に出てしまうのだ。

 

「触らないから安心して。むしろ、ここからは早く出た方がいいよね。タヌキがいつ襲いかかってくるかも分からないし」


私はそう言った。

 私の欲よりも、今はみんなの安全の方が最優先だ。いつ襲ってくるかも分からないものがいる場所からは去った方がいい。


「そうだな。早く出よう」


ライオスとニコは頷いた。

 私達は歩いて下へ向かうことになった。


「刺激しねえようにゆっくりしねえとだな」


ヴォルフがそう言った。

 私は小声で


「そうだね」と、賛同した。


 襲ってこようとしないタヌキ達だけれど、物音を立てすぎるとくるかもしれないからなあ。慎重に進まないとね。


 そうして、私達はゆっくりと歩いてタヌキ達がいる場所を通り抜けたのだった。

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