第36話 雪原って走りづらいよね
さて、私達はヘビに立ち向かった。
とは言っても、倒したとかではない。私のスキルを使って避けていただけだ。
初めは毒を持っているのではと警戒していたのだが、気にしないことにした。怪しそうな色をしているものもいなかったからね。
それでもまだ多くいるようだ。しかもここには雪が積もっているので進みづらい。
ヘビの大群がシロヘビみたいになっているのは綺麗だとは思う。でも、それとこれとは別というか。
スキルを使いすぎると疲れるからなるべく使いたくないのに、次から次に湧いて出てくるから使うしかない。
ライオス達も対処してくれているのだけれどね。
にしても本当に減らないなあ。
「どうしよっか?そろそろ足もきつくなってきたよね?」
ずっとヘビがいて思っているように動けない。私はヴォルフに乗せてもらっているけれど、足元の感じを見ると足を休ませる暇がないだろうな。毒がないにしろ大量のヘビが足元にいる感覚はトラウマになってしまうこと間違いなしだ。
私だって正直視界に入れたくもないし。
「そうだな……ニコ、走れるか?」
「いけますわ!」
「では……走るぞ!」
ライオスが走り出した。そのあとでニコも走る。そしてヴォルフもついていくという形になった。
雪原の中だというのに、全速力で走っていた。私は乗っているだけだが、ヴォルフの全速力はこちらも疲れる。
「ここまでくればっ、安全、ですわね……」
ニコが息を整えながら言った。
急に走ることになったのによくついてこられたなと感心する。私なら途中でばてていたかもしれない。
「大丈夫だと思うよ。階段の前だしさ。ほら、次に行こう?」
私は言う。すると、頷いてくれた。
なので私達は降りながら話をすることとなった。
「そうだ、なんで走ろうって言ったの?ここの地面だと動きづらかったと思うのに」
私は気になっていたことをライオスに聞いた。否定するような感じになってしまったかもしれないが、決してそんな気持ちはない。
「あの状況だと逃げるのが一番いいと考えたからだ。それに、多少動きづらい程度なら大丈夫かと思ってな。事前にニコにも確認をとった」
ライオスが理由を言った。
確かにニコにも走れるかを聞いていたな、と私は納得した。
「まあ全員無事だったんだからいいんじゃねえか?」
ヴォルフがそう言った。
無事が一番。そうでなくては安心できない。誰かになにかあったら、私はその責任を背負う。そんな覚悟で今挑んでいる。
ニコは私が勧誘したようなものだし。
「良かった。誰にもケガがなくて」
私は思わずその言葉を口にしていた。
「セリもなんもなくて良かったな」
ヴォルフが優しく笑ったような気がした。
笑っていなかったとしても、声が優しかったからそれで十分だ——
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