第35話 毒持ってないよね?
寝て起きると疲れがすっかり取れていた。
そして次へと行くことになる。
このダンジョンを攻略し始めて何日経ったのだろうか。外の状況とかなにも見えないからなあ。どれぐらい経っていても気にはしないけれど。
みんなはどうなのだろう。特に気にしている様子もないからいいのかな。
とりあえずそれは置いておくことにしよう。今のこの場所について把握しないとね。
またガラリと風景が変わった。
今度は、雪が降っている。雪原、という表現が一番近いと思う。
少し積もってはいるけれど、歩けるので問題はない。
「少し寒いな」
「そうですわね……」
ニコが身体を震わせながら言った。
雪が降っているとなると体感温度は下がるからなあ。こればかりは仕方がないのだが。
「ん?あれ……」
私は視界に入ったものを拾いに行った。
それは、暑い生地のコートだった。
なぜここにあったのかは分からないけれど、暖かさそうなのでありがたく使わせてもらおう。
「ニコ、これを羽織っていて。落ちていたのが気になるなら無理にとは言わないけど」
私は拾ったコートを渡した。
するとニコは笑って
「気になりませんわ」
と言ってコートを着た。
お淑やかなのにそういうところは豪快なのだなと私は思った。冒険者をするなら
コートは二つ。一つはニコがもらってくれたので良かった。もう一つは、ライオスに渡そう。
「ライオスもこれ……」
「いや、俺はいいからセリナが着ておけ。寒いだろう?」
「いいの?」
「ああ。俺はそこまで寒いと感じていないからな」
その言葉に甘えて私が着ることにした。
寒かったのがすぐに温かくなった。
本当になぜあったのかは分からないけれど、ありがたい。
「よし、これで大丈夫だね」
私は言った。
この寒い中で歩くと動けなくなることもあっただろうから少しでも温かくなったならしっかり動ける。
「おー良かったな」
ヴォルフが言う。
ヴォルフにかけられそうなものは見当たらない。寒いと思うのだけれどねえ。
「ヴォルフ寒くないの?」
「まーこんぐらいなら平気だ」
そう言ったので私はひとまず安心した。
具合が悪そうになっていたら、休憩を挟めばいいし。ちゃんとした休憩はできないけれど、少し休憩をとることも大事だし。
「せ、セリナ様!お足元に‼︎」
「えっ⁈う、うわあ!」
ニコに言われて、私は足元を見た。
そこには、言い表したくもない大量のヘビがいた。
しかも怪しげな色をしたものもいる。
「『あっちに行け!』」
私が言うと、私達から遠ざかった。
しかし、辺りを見渡す限りまだ沢山いそうだ。
「噛まれてないよね⁈無事だよね?」
私はみんなに聞く。
「全員無事だから落ち着け」
ヴォルフが答えた。
無事なら良かった。そう心を落ち着かせた。
「ヘビの大群……」
毒は持っていたのだろうか。持っていたのかもしれない。そう考えるとゾッとする。
噛まれていなかったので毒を持っていたとしてもなんともないのだが。
持っているのだとしたら、私達は噛まれないように慎重にならなければならない。
心を落ち着かせ、冷静になろう。
そうすればきっと、大丈夫だ。
(準備はできた。進もう!)
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