第30話 決意

 怖さがなくなっていた、とは言ったが完全になくなっていたわけではなかった。

 怖いものは怖い。

 襲いかかってくる牙が怖くないわけがない。それでも、必死だった。必死に立ち向かった。立ち止まりたくはなかったから。

 そしてやっと階段まで辿り着くことができたのだ。

 みんながいてくれて良かったと何度思うのだろう。これで何回目になったか定かではないが、十回はとうに超えているはずだ。

 

 こちらの世界で突然目を覚ました時は驚いた。なんで私はここにいるのだろうって。何故動けているのだろうって。

 そんな私を受け入れてくれたラビがいたからここまでこれたんだ。喋ることに興奮しすぎて抱きついた私を受け入れてくれた。そのラビはもう家族のところに戻ってしまったけれど、ヴォルフはずっといてくれる。

 ラビがヴォルフに会わせてくれた。ありがとう。今も元気に過ごしているといいなあ。

 

 そんなことを考えながらも次の階へと続く階段を降りていく。


「次は何が待っているのでしょうか?」

「苦戦しない相手だと助かるのだが……」

「だよなあ」


 みんなが話している。

 私もそれを聞きながら考えていた。

 次は何が待っているのかな、と。

 十階を超えた最初がサメという大物。その大物に私達は苦労させられたのだ。

 次も水の階なのだろうか。それならばいったいどんなものが出てくるのだろうか。次もサメが出てくるとかだったらまた大変なことになってしまうので、それはやめてほしい。


 水に対応する動物といったらペンギンとかラッコとかも思い浮かぶのだが。別のものかもしれないけれどね。

 まあ、どんなものだったとしても対処するしかない。そうしないと生き残れない。

 でも、私の考えを曲げるつもりはないよ。


 だって、みんなとなら大丈夫だとそう思えるから。そんな自信があるから。

 これからも頑張っていく。どんなことがあってもめげない。負けない。躓くこともあるし、ケガしちゃうことだってあると思う。

 みんながいれば、怖くない。そう感じるようになれたからきっと、私は大丈夫だ。

 

 私は決意を新たにし、また進んだ。

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