第9話 材料調達!

「つーかそもそもそれってどうやって作んだ?」

 

 ヴォルフが聞いてきた。

 

 確かにな。材料はどうすればいいだろうか。こちらに来る時に見たものは木ぐらいのもの。


 木?そうか、木材にしよう。

 だが、環境破壊になってしまうのでは?という考えが浮かぶ。


「ね、ねえ、木って伐採しても大丈夫かな?」

「ああ?少しぐらいならいいと思うぞ」


 投げやりな答えが返ってきた。

 あまり参考にはならない。


「ラビはどう思う?」

「そうね、見晴らしが悪くなっているところとかのはいいと思うわよ」

「本当⁈」


 見晴らしが悪いところ、通りづらいところとかのを少しだけきらせてもらおう。


「けど、何に使うの?」

「とりあえず、柵かな。自由すぎると、危ないこともあるし」


 ニュースとかで見て悲しくなったことが何度かあった。

 動物が車道に出ちゃって轢かれたり、十分な環境が整えられてなかったりとか……

 もうあんな思いはしたくない。


「そう。じゃあ行きましょうか」

「ラビもついてきてくれるの?」

「当たり前でしょ。木をとっても良さそうな場所を案内しなきゃだし」


 私はなにも言っていなかったのについてきてくれるのか。

 しかも当たり前と思ってくれている。なんていい子なのだろう。


「俺が背中に乗せるついでに案内してくっから、お前はひよこと遊んどけば?」

「は⁈なんでよ?」

「その方がひよこも暇しないだろう?」

「む、確かにそうね……」


 ひよこのことまで考えてる。

 ヴォルフも優しいよねえ。少しひねくれた言い方しかできないけれどね。

 

「じゃあラビはここにいてくれるかな?私とヴォルフはちょっと行ってくるからさ」

「セリがそう言うなら……」

「うん。ひよこと遊んでてね。よしっ、ヴォルフ行こっか」

「おう。早く乗れ」


 私はヴォルフの背に跨った。

 そして動き出した。

 今度はゆっくりだ。案内したい場所が近くにあるのかな。

 進んでいくとどんどん木が沢山見えてきた。


「ここら辺でいいか?」

「うん!」


 そうして下ろされた場所には、木が沢山あって見渡すと木以外には見つからない。

 こんなに沢山あるところがあったとは思っていなかった。

 これじゃあ動物も通りづらいだろう。


「よしっ、やっちゃお〜伐採しすぎないようにね!」

「それはいいけどよ、どうやってするつもりなんだ?」


 はっ、そうだった。

 ノコギリとか斧とか何もない。


「ん〜どうしよ?」


 考えながら周りを見てみる。


「ん?あれって……」

「なんか見つけたのか?」

「うん、多分」


 私は見つけたものの近くに寄った。

 

「やっぱりそうだ!」


 斧が置いてあった。

 こんな都合よくあるとか怖いけれどね。

 でもせっかく見つけたのだし、あるのだから使わせてもらおう。


「ヴォルフ、これがあればなんとかなるよ!」


 私は斧を持って言った。


「良かったじゃねえか。んじゃ、オレ待ってるから頑張れよ」


 そうだ、ヴァルは斧持たないんだ。

 人がもう一人いると助かるんだけれどなあ。

 いや、こんなこと気にするより早く作業しよ。

 

 私は一本の木の前に立った。

 そして木に向かって斧を振る。


「とりゃー!」


 切り込みは入った。

 そこからどんどん振っていく。

 私の力が尽きるまでに少しずつでもやらないと。

 材料とか全然手にいられないままになってしまう。


「ふんっ、おりゃー!」


 気合を入れて一振りした。まずは一本目が倒れる。


「ねえヴォルフ〜何本までなら持っていけそう?」


 私は戻って聞いた。


「あーニ、いや、三だな」

「ん、分かった」


 確認をとったところでもう一本!と意気込んだ。

 にしてもこの森、本当に先の道が見えないくらいに木があるなあ。

 元いた世界と違ってビルとか建っていないからか。

 っと、早くやらないと日が暮れてしまう。


「うおりゃー!とりゃー!」


 腰をしっかりいれて斧を振る。

 声が出てしまうのは仕方がない。

 気合いを出すためにも必要なのだ。

 そうして二本目も終わった。


 よしっ、最後だ。

 私はその木に斧を振った。


「おりゃー!って、うわああー⁈」


 突然でかい鳥が襲ってきた。

 もしかして木の上で住んでいたのかな。

 それとも雛がいたのかも。

 どちらだったとしても、今は自分の身の安全をとらないと。


「だからこっち来ないでー!」


 私は走って逃げる。

 やはりこの道は通りづらい。

 転びそうになる。ってこんなのフラグでしかないのか?


「ぎゃ⁈」


 そんなこと思っていたら転びましたよ……


「セリ⁈」


 ヴォルフが駆け寄ってくる。

 もう間に合わないかもしれない。

 というか、この鳥の爪が怖いのだが⁈

 うわーもうすごく近づいてくるよ。


(誰か助けて!)


 と、目を瞑ったら


「ガルルル」


 という声がした。

 え?と思い目を開けてみると……

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