第3話  ギルマスとの出会い

次の日市場にはもうすでにシェリーさんと予約

してくれた女の子が待っていた。

「おおはようございます。お早いですね」

「楽しみで居ても立っても居られなかったんです」

そそくさと準備を終えてお客さん2人にポトフを出す。

「ン~この匂い期待できますわ」

「こちらの世界のポレラとは少し違うかも知れませんが

食べてみて下さい。正式なレシピを知らないので自己流

の作り方なんです」

「なんでしょう不思議な味ですが凄く美味しいです」

「ええ、これなら銀貨3枚でもうなずけます」

「あのう毎日でもお邪魔したいんですが

営業時間を教えて下さい」

「あ、後で看板に書いておきますね。昼は11時から午後2時まで

夕方4時から夜の12時迄を予定しています、15歳のミチに

就業時間規制はあるのでしょうか?

「いいえ特に規制はありませんよ。でも……徹夜とかは

させないで下さいね」

「させませんよ。自分もしたくないし。もし商売が軌道に乗って忙しくなったら従業員を雇いますよ」

シェリーさんはラーメンも食べてみたいと、塩ラーメンを

注文してくれた。

予約してくれたお嬢さん(ビオラさん17歳と言った)はカレー

を注文したいがどの辛さが良いか分からないと言うので

味見用に3種類のルーを小皿に取って味見してもらった。

「あたしは甘口でお願いします」

横で見ていたシェリーさんも

「甘口と辛口を味見させて下さい」

中辛は昨日ガッツリ食べている。

「私は辛口がいいわ。大人の味って感じで」


その時東門の方向から叫び声が聞こえた。

「暴れ野牛だ、建物の中に避難しろー!」

人々の悲鳴や怒声がどんどんこちらに近づいて来る。

「皆さん俺の屋台の後ろに入って!」

近くにいた人達が避難したのを確認して屋台中心に

防御シールドを張った。レベル1だからどれだけ

耐えれるか不明だが何もしないよりましだろう。

毛深い野牛がよだれを垂らして俺の方に角を向けて

走ってくる。

「きゃー!!」ミチが叫んだ。

俺はサッと横に動いて角をかわし、角を掴むと

人の居ない方に投げ飛ばした。

ずどーーーんと頭と背中を石畳に打ち付けて

野牛は気絶した。

「わー凄い、あんなでかい野牛を投げ飛ばしたなんて

信じられない。誰あの人?」

「カレー屋のおっさんだ」

「誰かロープを持ってませんか?また暴れないように

足をしばっておくので!」

「おお、」これを使ってくれ。俺はこの町の冒険者ギルド

のギルドマスターをしているケルトと云う。協力感謝する」

「おれはこの屋台の店主で浩二って云いますあ、皆さんもう

大丈夫ですよ。こっちに出てきても」

「いやそれが目に見えない壁にぶつかって出れないんだけど」

「あそうか。シールド解除」

「あ、出れた」

パチパチパチ拍手が起きた。

「最強の屋台店主バンザーイ!」

誰?今変なこと言ったの?


「浩二さん無事でよかった!」

ミチが抱きついて涙を流してくれた。俺はミチの頭を撫でて

「心配掛けてごめん」と言った。

「浩二さんお強いんですね」とシェリーさん。

「浩二おじ様、格好よかったです」

とビオラ嬢。おじ様は止めて欲しいんですが。


「日ノ本屋の店主さん。是非冒険者登録して欲しい」

と、ケルトさん。

これが冒険者ギルド長との出会いだった。


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