Ep11 ギャルっぽいヒトは苦手っ
ログとともに死体が消滅し、大量のアイテムや“ギア”が転がった。麻希は早速☆4“ギア”『クイック・タイム』を外し、ジェットパックで屋上へ降り立つのだった。
「はあ、はあ……。パクスコインも落とすんだ。PK厨は失敗したら文字通り全部失うと。ハイリスク・ハイリターンだね~」
彼が落としたものはすべて“デバイス”にしまえる。いつか使える日が来るかもしれない。ここは全部捕ろう。
「いま、どれくらい所有してることになってるんだろ」
スマートフォンみたいな道具“デバイス”で、麻希は全スロットを確認し始める。
ギア一覧がこうだ。
☆5『ザ・ミラクル』……“ニュー・フロンティア”内の見た目を現実世界にも持ち帰れる。
☆4『クイック・タイム』……身体能力を極限まで上げて空間的な移動を可能にする。
☆2『フレアデコイ』……ロケット・ランチャーなどの砲弾の着弾点をずらす。
そして新たに奪った“ギア”がひとつ。
☆4『
アイテムは数えるのも愚かしいくらい溢れているので、まあ使いそうなものから優先的に出せるようにしておけば良いだろう。
「ライフル系は必至だし、ロケランやグレポンも大事だね。あとセントリーガンとかも使い道ありそう。んで、交わすって意味だと膨張型デコイも役立つかな」
それらを即座に使えるようにし、麻希は麻友に連絡する。
「やあ、美少女のお兄ちゃんだよ」
『…………』
「なにか喋ってよ……」
『このゲーム怖い。もっとゆっくり遊ぶ方法ないの?』
「キャラ・メイクとか服買いに行くとか?」
『えっ。それじゃ東京行くのと変わんなくね?』
「でも東京へ行くための交通費は不要だよ? しかもゲーム内の日本円で決済できるし。姿変えるのだってゲーム専用でしょ」
『うーんー……けどリアルに持ち帰ることできないじゃん』
「それだけこのゲームがリアル過ぎるってことだよ。まあ、適当に時間潰そう。宮崎がそろそろ仮眠終えるから」
途端に電話越しの麻友は黙り込んだ。
「ん? どした?」
『いや、一回しか会ったことない上になんなら挨拶しただけだけど……ああいうギャルっぽいヒト苦手』
「ギャル? 宮崎が?」
『あのとき髪の毛金髪だったし、服装派手だったし、なんかめちゃ甘い匂いしたし……いまはどうなのか知らないけど、陽キャと関わるの嫌だよ。あたしみたいな根暗は』
なかなか難しい問題を提起してきた。そういえば、宮崎はあのとき金髪に染めていたし、なんとなくギャルっぽい雰囲気を漂わせていた。元々おとなしめな性格の自分とは性格が合わない、と麻友が考えてもオカシクない。
「……。分かった。宮崎には悪いけど、断りの連絡入れておく」
と、妹を気遣い宮崎へ適当な理由を告げようと、一旦ログアウトしようとしたときであった。
「やー! 佐野! 調子は?」
茶髪のくりくりした目を持つスタイル抜群の美人、宮崎碧衣がログインしてきた。彼女はスキンシップ代わりに佐野へ抱きつく。
……妹の目が憤怒に染まるのを、麻希は見逃さなかった。
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