第2話 大学日本拳法で私が見た「早稲田」

AAA. 「早稲田」の持つイメージ

  私が5年間体験した大学日本拳法時代(1970年代)、昇段級審査や公式戦で見る「早稲田の拳法」というのは「骨太」「蛮カラ(蛮勇)」というイメージでした。


○ 頭は東大並みなのに、ガツンガツンと強烈なパンチで前へ出るワイルドで骨太な戦い方。(インド人と戦った私の友人のような ?)。

最近のビデオになりますが、「2017年 全日本学生拳法選手権 関西学院大学vs早稲田大学」 における三将(早稲田渋谷シンガポール高校出身)の拳法が、私が40年前の大学時代に見た早稲田の拳法に近い気がします。

○ 私が4年生の時でしたか、早稲田の新入部員の一人が公式戦で、試合開始直後にいきなり相手に跳び蹴りを入れた(当たったのかどうかはわかりません)という話を、それを見ていた私の同期から聞きました。

「早稲田っていうのは、ムチャクチャやるなぁ-。」なんて話していましたが、顔が「永六輔」にそっくりだというので、以後「浅田飴」というニックネームになったとか・・・。


BBB. 在野としてのすがすがしさ

一般に、東大生とは、卒業すれば各省庁の(高級・恒久)官僚となり(政府・裁判所・警察・税務署・マスコミ)に流れて国家権力の中枢として存在しようとする。まあ、頭が良いので当然の権利といえばそれまでですが、同じくらい頭が良いのに、早稲田はそんなことはしない(という大雑把なイメージが私にはありました)。

例えば、パーキンソンというイギリスの経済学者・社会学者(公務員とは、仕事の重要性とは無関係に一定の割合で増加するという「パーキンソンの法則」を主唱し、官僚組織の弊害を指摘)を日本へ紹介したり、「ゼロベース予算(公務員の予算編成は、毎年ゼロから組み立てるべき)」を提唱したり、「早稲田」というのは、自由で民主的な立場から権力の誤りを糺すという、謂わば「弱者の味方」というイメージが、50年前には非常に強かったのです。

私自身、1979年(昭和54年)夏の関東リーグ戦、大将戦で戦った早稲田の選手の潔(いさぎよ)さ・清々(すがすが)しさに感銘を受けました。

 → 「思い出は一瞬のうちに」第16話 「コンマ一秒の友情」


一般的なイメージとしても個人的な思い出としても「早稲田」というのは「楽しい」「公明正大」「反権力 → 在野の精神」「誠実」という印象だったのです。


CCC. 「疑惑の試合」

ところが、2022年5月に行なわれた、日本拳法第35回東日本大学リーグ戦男子団体戦、対青山学院大学との3位決定戦。この試合における大将戦で、今までの私のイメージとは全く違う「早稲田」を見てしまいました。

ビデオ(ライブカメラ)観戦でしたが、私の目からすると、「選手(大将)・監督・コーチの三者による不可解な試合」でした。

しかも、その大会から1週間後、早稲田と警視庁と自衛隊の合同練習に、その青学を呼び「圧力をかけてこの試合の口封じを図った」という、推理小説染みた妄想を、私は抱きました。

この不可解な試合とは

① この大将戦で早稲田が負けると、早稲田は3位に入賞できない、という状況。

② この大将戦に出た青学の大将は、1年生ながら組み打ちが強く、早稲田の大将をどんどん追い詰めていた。そのまま行けば、青学勝利は間違いなかった。


③ ところが、早稲田の大将は、足を痛めたという大仰なジェスチャーで試合を数分間、中断させる。そして、この試合のライブカメラでバッチリ写っているのですが、早稲田の監督はこの大将の肩を抱いて、何やらヒソヒソとアドバイスをしている。試合中に、監督が選手に数十秒間にわたりアドバイスをする、というのは???。


④ 試合が再開されると、早稲田の大将は、決して自軍の近くから前へ出ない。そして、青学がタックル攻撃してくると、巧みに自軍サイドの場外へ逃れ、近くにいる2人のコーチは立ち上がって大きな声を出し「試合の中断」を審判に促(うなが)す。審判は、その都度、早稲田に場外警告をせず、そのまま何度も試合を継続させる。

本来であれば、この時点で青学の勝利なのですが、結局、早稲田が面突きで一本取り、勝利しました。

詳しい内容は、もう一度、かのビデオを見ることにしますが、とにかく「疑惑の判定」てんこ盛りで、大学日本拳法を見る爽快感というものが一気に吹き飛ばされ、暗い気持ちになった試合でした。


更に、その一週間後に.早稲田のOBが会長を務める「警視庁日本拳法倶楽部」と早稲田の合同練習に青学だけを呼びつける。警視庁だけだと目立つので、自衛隊も参加させる。

この辺りの政治テクニックはさすが早稲田。

30年前、関東学院大学のラグビー部がガンガン強くなり、「ラグビーは早慶明」という神話をぶち壊した。すると、早稲田はリーグ編成をその政治力によって強引に変えて、早慶明神話を守り抜こうとしました。

まあ、その頃から私の早稲田観というものは、若干変化してはいたのですが、ラグビーに関しては全くの素人ですのでわかりませんし、大して気にもならない。

しかし、こと大学日本拳法に関してならば、たとえ初段を取るのに5回もかかった落ちこぼれとはいえ、5年間自分勝手な拳法をやっていたので、試合の雰囲気や流れ、選手に対する理解は素人ではない。

DDD.台湾に雪は降らねども「降る雪や早稲田は遠くなりにけり」

  (中村草田男の句を改変)


早稲田のイメージを決定的にぶち壊してくれたのは、この早稲田・警視庁・自衛隊、そして生け贄となった青山学院大学の「合同練習」という名の脅し。

この日、早稲田の日本拳法部員がブログにその様子をアップしていたのですが、それが振るっている(突飛である。奇抜でおもしろい。)

「警視庁や自衛隊の方々から、沢山の技術指導を戴き、大変有益でした。こんな素晴らしい方々が日本の治安を守ってくれて、私たちは幸せです !」

「オイオイ、早稲田さん、あんた方、いつから権力の提灯持ち・太鼓持ちになったんですか ?」と、驚くやら呆れるやら。

確かに、(私の中で)40年前の早稲田は完全に消え去り、「警視庁の太鼓持ちの早稲田」として、新らしく生まれ変わりました。


 → 現在(2023年9月)、青学OB(警視庁)のデブっちょを使い、関東の日本拳法連盟に入り込もうと画策中の警視庁。

かつて、柔道・剣道という殻を使うことで自分たちの存在感(国民に対する脅し)を確保してきましたが、ついにその魔の手が大学日本拳法の世界にも及んで参りました。

まあ、こういう流れは韓流支配の日本では必然であり、台湾などではまずこういう社会現象は起きないでしょう。

その意味では、在来種と外来種の混交する(外来種有利)日本ならではの「見物」と諦めて、私たち在来種の純粋日本人は、心静かにこの行く末を見守りましょう。



それにしても、いい加減、そういう早稲田的な「スポーツを政治・権力で解決する」スタイルは、ラグビーや野球だけにしてほしいものです。

  

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