命とは?(407字)

ぬいぐるみに命を吹き込むおじいさんがいた。


そのぬいぐるみから感じる今まで注がれた【愛情】をもとに命を宿すのだ。


喜んでいる人もいれば、思っていたのと違う、こんな性格にしたつもりはないと、以前のぬいぐるみに戻して欲しいと送り返される人もいる。


一度命を吹き込んだら、もう二度と戻せない。そのことを最初に忠告したのにと嘆いているおじいさんだが、送り返されたぬいぐるみが大量になり、自分も歳をとったので、もうこの仕事を辞めることにした。


弟子がいないため私が亡くなれば、ぬいぐるみの居場所がなくなる。そのため、おじいさんはぬいぐるみたちの譲渡先じょうとさきを見つけるため、団体を作った。


段々とぬいぐるみたちの譲渡先じょうとさきが見つかり始めた頃、おじいさんが病気で亡くなった。


おじいさんは亡くなる前、よくこう言っていた。

「ぬいぐるみも犬や猫みたいに家族の一員として見て欲しくてこの仕事をはじめたが、皮肉なことに捨てられる犬、猫と同じ運命を辿るとは‥」



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