第2話 提案
そんな代わり映えのしない中で「新たな変化」はいらなくて、とにかく毎日を過ごして十年が経ったある日――。
「ソフィ。やっぱり考えたんだけどね」
「?」
「私はあんたの才能をそのままにさせておくのはもったいないと思ってね」
「えぇ……今更? というか、もったいないって……」
――そんな事急に言われても。
この国では魔法を使える人は王族や貴族はほとんどが使え、平民では三分の一と言われている。
お婆ちゃんが「貴族にならないか」と打診されたのもコレが関係している。
そして、実はこの国では五歳になった頃に「魔法が使えるか」という検査が行われているのだが、これで分かるのはあくまで「魔法が使えるかどうか」という事だけ。
つまり、魔力量や最大の威力までは分からないのだ。
ではどうしてお婆ちゃんが私の魔力量などの細かい情報を知っているのかというと……。
実はその検査が終わった後、物は次いでとお婆ちゃんが家で「魔力量」や「最大威力」を調べてくれてのだ。
――後で知ったけど、魔法の実力がある人って「鑑定」って言う魔法も使えるんだよね。
この「魔法の実力がある人」の定義は分からないが、少なくとも今この国で「鑑定」を使える人数は両手で数えられるくらいしかいないだろう。
そして、お婆ちゃんからその結果を聞いていた私は今までこの事を隠す事が出来ていたのだ。
「……本当は勉強したのだろう? 魔法を」
「それは……」
確かにそうである。
私が魔法を使える事は既に国にも検査で明らかになっている。問題はその「魔力量」と「威力」という点。
――でも、これはお婆ちゃんと私以外は知っていないから……。
バレない様にするには「平均レベル」に制御しなければならない。だから、どのみち勉強しなければならなかった。
――い、今まで「基礎」はお婆ちゃんから習っていたけど……。
この国でもっと本格的に魔法を学ぼうと思ったら、まず国の魔法学校に入学しなければならない。
誰かを師事したり独学で勉強したりする事も出来なくはないけど、これはかなり稀なケースである。
しかも、国の魔法学校は無償で授業を受けられる。
ただ、無償で授業を受けられる代わりに試験がかなり難しく、毎年不合格者が後を絶たないらしい。
もしそうなった場合は再度試験を受けなおすか、先ほど上げた方法で魔法を勉強するしかない。
――基礎はお婆ちゃんから既に習っているけど……。
それでも、お婆ちゃんと私では座学はともかく、実は「実際に魔法を使う」となると、ちょっとした問題が発生していて、勉強する事は難しかった。
だから、実はちゃんと魔法を学びたいと思っていた。
「私がちゃんと教えてあげられたら良かったんだけどねぇ。それは出来そうにないから」
そもそもお婆ちゃんはもう年齢的にも長時間の実践魔法の練習が厳しそうだったのもまた事実だった。
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