第8話 解放


「…申す」

 祝詞を唱えると胸の奴隷紋が消え去る。

「あ。ありがとうございます」

 全員が奴隷から解放された。

「これで大丈夫だ!よかったな!」

「「「「「はい」」」」」

 これは俺からの餞別だ。

 50万ゴールドづつ渡すと返してくる。

「なんでだよ?」

「私達は奴隷紋がなくなってもあなたに着いていきたいです」

「わたしも一緒です」

 リリとラムが頭を下げるとマシィとキキ達も頭を下げる。

「こんなおっさんについてきたっていいことないぞ?」

「好きです」

「私も好きです」

「私もすきです」

「「私たちも好きです」」

 五人に告白されたのは初めてだな。

「いや、いまはまだ奴隷紋が解けたからな」

「私達は対等になれました!だからわたしの気持ちを否定しないでください」

「リリ」

「私も同じ気持ちよ。こんないい男いないもの」

「ラム」

「あーしも!いつも優しいカイトが大好き」

「マシィ」

「「私達も」」

「ナナにキキまで」

「わかったよ、一緒に旅しよう、そしてみんなで暮らそうな」

 泣きながら俺の胸に飛び込んでくるリリ。


「あははは!やっと酒が飲めるわ!」

「ラム飲み過ぎよ?」

「はにひっへんほ」

「マシィは食い過ぎだしキキもナナも好き嫌いしないの!」

「あはははリリがお母さんみたいだな」

「じゃあ、私の旦那さまはカイトで決まりね」

「あははは」

 みんな我慢してたんだ、それなりにハメを外すのはアリだよな。


 しかしなんでこんな奴隷制度が?まぁ、今は止まんなで楽しむことにするか!


 

  ♦︎


「旦那、今五人の奴隷紋が一斉に消えました」

 黒いフードを被った男か女かわからない人が一人

「は?五人一斉に?どこのドイツかはわからないんだよな?」

「はい、さすがに」

「ちっ!まぁいいや!こっちはそれどころじゃなくてな!奴隷商人が一人消えちまったんだ、補充しなきゃな!」

 男は葉巻を咥えながらチェスのコマを動かしている。

「チェックメイトだ」

「ちくしょ!持っていきやがれ!」

「あぁ、ありがとう」

 男はバックに入った金貨を残らず待っていった。

「あいつはいつもそうだ、やなときにきやがる」

 葉巻を奴隷に押し付けて消すと上から見下ろすのは街だ。

「まぁ。ここは俺の街だからな」



  ♦︎



「旦那さま起きてください」

「お、リリおはよう」

「むぅー」

「まだためだ」

 枕を顔に当てる。

「リリは諦めませんからね」

「ハハッ元気が一番」


 下に降りるとラムが二日酔いで、あとの三人は眠そうにしている。

「みんなおはよう」

「「「「おはようございまーす」」」」

 全員チグハグなあいさつだな。


「さぁ、朝飯たべて今日も頑張るぞい」

「「ぞい」」

「私コーヒーだけでいいや」

「あーしも食べすぎちゃって入んない」

「もう!だからあんなに言ったのに!」

「「ごめーん」」


「朝飯食べたらみんなのギルド証つくりにいくからな?」

「「「「「はい」」」」」

「おー、ここは揃ったな」

 みんな普通の生活ができるのが楽しいんだろうな。


 ギルドに着くとやはり可愛い頃の女五人が集まれば男は居ても立っても居られないわけですが、全員無視。

かわいそうに、そこに大男が入ってきたら。

「殺すぞ」Aランクカードは伊達じゃない!

「ギルドの登録お願いしまーす」

「はい。5名さまですね」


 無事五人のギルドカードが完成し、パーティー、を組むことになったはいいが、名前が決まらない。

「ノーネームで!」

「はい承りました」


「えー、カイトと元奴隷たちでよかったじゃん」

「それ俺が恥ずかしいやつね」

「「キキナナカイト」」

「それラム達入ってないよ?」

「ラムとダーリンで」

「それも却下」

「まぁ、ノーネームで、いいんだよ?」

「なんで?」

「名乗りなくないからね」

「あーね」

「「納得」」

「よし服でも買いに行こうか?」

「「「「「行く」」」」」

「あとバックもね」

「やったー!」


「たっぷり三時間はかかってるよ?」

 もうふらふらです。

「こっちとこっちで迷ってるの!」

「両方買えば解決するよ」

「それじゃだめなんです!バック一人一つまで!」

「マジックバックにするからねー」

「え?まじで?じゃあ私これやめる!」

「私も!」

「リリ、お金渡すから買っといて」

「ダメです!買ってもらうのに意義があるんです」

「はーい」


 たっぷり五時間はかかりました。

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