カミーユの作品
このエッセイは以前に書いたものです。
フランスの女性彫刻家、カミーユ・クローデル(1864-1943)の作品です。
1889年、25才の時の作品「祈り」
息をとめて、一心に祈っている・・・☆
27才、「ワルツ」☆
女性の美しい首の線に注目。
40才、「フルートを吹く人」☆
病気になる少し年の作品。風の中で吹いている。
一番有名な作品。1895年頃、ロダンと別れた31才あたりの作品で「熟年の時(日本でのタイトルは分別盛り)」、パリのオルセー美術館にあります。☆
男性を誰か(運命の神でしょうか)が連れ去ろうとしています。それに引き止めうとする女性。彼女のさしだす手は、彼に届いていません。
まるで去って行くロダンと、行かないでとすがるカミーユのようです。
ふたりの仲はパリ中のスキャンダルの種でしたから、この作品は人々の好奇心を満足させたことでしょう。
ああ、こういう作品は作ってほしくなかった、というのがわたしの最初の反応でした。もっときりりとしておいてほしかった、
そうは思いませんか。
でも、この作品のタイトルは「行かないで」とか「拒絶」ではなくて、「L'Age Mur(Age of Maturity)」です。
実際にはロダンがカミーユを捨てたのではなくて、24才年下のカミーユが自分の意志で去っていったので、現実の図は反対です。
彼女は反骨精神のある女性、これでひとり立ちを(自分に)宣言したかったのでしょう。世間の噂なんか、どうでもいいことです。
カミーユは40才を過ぎて、精神を病みます。たぶんそれは「鬱」。芸術家で、鬱にならない人はいないでしょう。今なら治せたのに。
回復していたけれど、母親が許可を出さなかったと言われています。
カミーユは私生活の話題のほうが優先し、作品はロダンの亜流だといわれ、彫刻という男性世界では、正当に評価されないことが多いようです。
そういう先入観をなくしてカミーユの作品を見ると、彼女の物語の中に引き込まれます。
物語といっても、童話のようなおだやかな世界ではなく、「怒り」とか、「深刻さ」、「悲しみ」が伝わってきて、気がついたら、じーっと見つめてしたりして。
もっとご覧になりたい方は、You Tubeへ。
「Camille Claudel Artiste Sculpteur」を訪ねてみてください。そのあたりに、いくつかの彼女の作品をとりあげたサイトがあります。彼女の作品を美しい音楽つきでのせています。
カミーユのファンが、世界のいろんなところにいるようです。
註(このシリーズはリージョン・オブ・オーナー美術館の巻ですが、上の作品はどれもその美術館にはありません。そこには、カミーユのロダン像があるだけです。ロダンの像を見て、いろいろと想像がかきたてられています。)
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