第2話 出会い

いつからこのような人生を歩むことになったのか。度々今でもそのきっかけを考えてしまう。

「事実は小説よりも奇なり」という言葉は知っていたが、それは他人に起きることで自分には関係ないと思っていた。

しかし、現状をみるにそれは何らかの形で起こりうるし、実際に起きてるのだから頭を抱えながらも向き合うしかない。







私が彼女と出会ったのは現代社会では珍しくないSNSだった。いつから、なぜ繋がっていたのか定かではないが、彼女と出会った。

彼女曰く「浮舟が私を呼んだかもしれないし、私が貴方を呼んだかもしれないし、両方かもね」とのことだ。なるほど??


彼女ことNちゃんと仲良くなったきっかけは「鈴の音」だった。

ある日、Nちゃんが


「周りに鈴とか音が鳴る物がないのに、スペースで話してると色んな人から鈴の音がするって言われる」


と言ったツイートをつぶやいた。それに反応した、留学帰りの無駄に行動力が上がった好奇心旺盛な私が食いついた。


「私も鈴の音聞いてみたいです!!」


Nちゃんは二つ返事で了承してスペースを開いてくれた。了承するんか。

私も大概変わり者ではあるが、彼女も変わってると思う。

そこからスペースにお邪魔して私の鈴の音チャレンジが始まったが、一向に聞こえない。

実はNちゃんにも聞こえないらしく聞こえない者2名、鳴ってるのかも分からなくて詰んだ。アカン。


Nちゃんに「頻繁に鳴るものじゃないっぽいから」とフォローされつつ雑談していた時、リスナーが一人入ってきた。

これ幸いと私は「あの!急で申し訳なのですが、もし鈴の音が鳴ったらスタンプ押して教えてくれませんか?!」と頼んだ。必死すぎる。

この変人に対し、心優しいリスナーの方は承諾してくれた。優しすぎる。

その後、雑談をNちゃんと続けていたが、かなりの頻度でスタンプが上がるあがる。

つまりめっちゃ鈴の音鳴ってるらしい。全く聞こえないが???


鈴の音を聞きたい私はスマホの音量をマックスにしたり、スピーカー部分に耳をつけて聞いてみたり出来ることを試したが、全く聞こえない…


どうして…と嘆く私。「コンディションの問題で今日は聞こえないだけかも」私を慰めるNちゃん。スタンプを上げ続ける鈴の音が聞こえるらしいリスナーの方。思い返すとカオスだ。


その後、日を改めて3回ほどトライしたが、全敗した。なぜ…どうして…

Nちゃんが言うには「スピリチュアルな面での相性とか、霊感とかが無かったり、後ろの人が防いでるって可能性があるよ」と言った理由があげられるらしい。聞きたかった…


人に話したら驚かれるか呆れられるかのような出会いをして私とNちゃんは次第によく話すようになっていた。


その話題はもっぱら"あちら"の存在の話だった。Nちゃんは直接"見える"わけではないが、ある程度の会話ができるそうだ。

加えて、この手の能力は人によって差があるらしく、ラジオの周波数みたいに合う、合わないがあるらしい。人間の霊つまり幽霊と周波数が合う人がいれば、神や精霊といった存在と周波数が合う人もおり、全ての周波数と合う人もいる。

彼女は神や精霊といった存在と周波数が合うタイプだった。

本人は彼らが言ったこと全部分かるわけではない。と言っていたが、話せるだけ凄い。

幽霊と意思疎通取れなくはないが、神や精霊が上の位の立場としたら人の霊は位が下らしく、その距離が開けば開くほどNちゃんは聞こえなくなるそうだ。

本人は「声が遠すぎて何言ってるか聞こえない感じ。なんてー??って笑」 十分凄いよ。


クソガキみたいな好奇心をもち、怖い話などが好きな私がNちゃんの話に食いつかないわけがなかった。スペースで彼女が知っている"あちら"の存在や彼女自身のことを教えてもらった。


彼女には守護霊ではなく守護神がいるそうだ。狐のお姉さん(彼女はマミーと呼んでる)、同じく狐の童女の桜ちゃん(鈴の音を鳴らしてたのはこの子だった)、ウサギの兄弟の青さんと緑兄さんの計4人(匹?)の神様が彼女を守ってるそうだ。全員、彼女がよく行く稲荷神社の眷属だそうだ。実家あるんだとぼんやりと思った。


彼女からしたら家族のような間柄で、楽しそうだなあと微笑ましく思いながら彼女の家族の話を聞いていた。

Nちゃんの家族意外に彼女の友人達の話も聞いていた。彼女の友人達にも守護神と言われる存在がいるそうだ。(神様と言った存在が個人につくこと自体レアで、その人たちが一ヶ所に集まるのはとても珍しいらしい。)

彼らの話をNちゃんから聞いて、率直に大変だな…と思った。


人の各家庭の教育方針が違うように、後ろの人(と守護霊、守護神を総じて私が呼んでる)の教育?方針はそれぞれ異なる。

スパルタだったり、人から見ておま、それはアカン…と言ったやり方だったり様々だった。また、人間の方にも何かしら問題がある場合もある。幽霊や"あちら"の存在に好かれやすかったり、意図せずパラレルワールドに飛んだり、神隠しされかけたりと……本人が知らないだけで、危ない橋を渡りかける場合がある。

Nちゃん達が言うには、某刀の擬人化のゲームの二次創作で書かれていることは、あながち間違いではないそうだ。中には"本物"もある。と彼女達が言っていた。非リアルだから安心して読めていたのに……


その時の状況にもよるそうだが、危険な場合は後ろの人が奔走するそうだ。そちら側じゃなくて本当に良かった。と私はこの時、こっそり安堵していた。

(Nちゃんの友人の話などはまた別の機会に)




Nちゃんと仲良くなりスペースだけではなく、LINEも交換し個人でも話すようになった冬。同じ大学の友人に誘われて友人のお世話になった方と会った。

その方は占いをかじっていたらしく、私のことも占ってもらった。その時言われたのが「スピリチュアルの方向に強く関わっている」といった内容を伝えられた。

私自身、Nちゃんの話を含め、怪談や不思議な話を好んで聞いていた。しかし、だからと言って占いやそう言った存在の類を信じている人間ではなかった。

そのため、そう伝えられた時「まさか、信じてもないのにありえない」と内心鼻で笑っていた。

今思えばこれも、現在の状況に続く布石だったのかなと思う。


オカルトや怖い話が好きな人は「霊感をもっている人と一緒にいると見えるようになる」と言った言葉を耳にしたことがあると思う。

私もその言葉を知っていたが、対面で話していたわけではないから無関係だと思っていた。そんなことは無かった。本人がどう思っていても起きる時は起きる。

そちらに興味がある人達もほどほどに。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

隣人さん 浮舟 @ukifune_910

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ